orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(60)白内障の手術について

相談者(47歳主婦):白内障と言われ、視力が0.3まで落ちました。手術を覚悟していますが、人工水晶体を入れるのはいかがでしょうか。

専門医の診断:白内障とは、水晶体に不透明な部分ができる病気です。中心部分が濁ってくると、手術によって水晶体の実質を摘出し、凸レンズのメガネをかけるか、または、プラスチックの人工水晶体を挿入するかによって、水晶体の代用をしなければなりません。人工水晶体は1970年代になってから、欧米で普及しましたが、日本ではまだ広く行われているとは言えません。安全性は確かめられていますし、手術後の見え方は元に近く理想的ですが、角膜の裏面に傷がついて浮腫を起こしたり、瞳孔の変形が原因して人工水晶体の脚が外れたりするケースがないではありません。

 

三石巌先生のアドバイス:私も人工水晶体を両眼に入れています。この手術では、水晶体の核を壊して吸引するわけですから、水晶体のカプセルは残ります。私の場合は、そのカプセルが不透明になってきました。後発白内障という症状です。これは、カプセルを切開すれば治る性質のものですが、まだ私はやっていません。もう一つの問題は、人工水晶体の焦点距離の計算を間違える場合があることです。そのために、私の右目は超高度の近視になりました。左眼は手術によって視力1.0になったのですが、これも後発白内障のため0.6まで低下しました。

これまでいく度か活性酸素の話を持ち出しましたが、体では活性酸素除去酵素SODを作っています。水晶体は血管がなく、房水から栄養の補給を受けているために、SODが不足がちになります。それで、活性酸素による酸化が起こりやすく、酸化が起これば水晶体の核が変性して不透明になります。これが白内障です。このことからすれば、白内障の進行を防ぎ、あるいは予防するためには、活性酸素除去物質を十分にとれば良いことになります。この場合、ビタミンC・ビタミンE・ベータカロチン・セレンなどをおすすめします。

 

自然治癒の健康相談(59)眼圧が高いと失明しますか

相談者(小学4年生女子):視力が弱いので病院で診てもらったところ、視力は0.1、眼圧は25でした。親戚に緑内障で失明した人がいるので心配です。

専門医の診断:眼球内には房水という水が循環しています。この房水の圧力が眼圧です。眼圧は水銀柱15ミリ前後が正常で、20ミリを超えると要注意です。眼圧が高くなると、眼底の血管がつぶれて血液循環が悪くなります。すると視神経に送られる栄養素が不足するので、神経が萎縮し、視力が落ちて視野が狭くなります。子供の緑内障は稀ですが、あなたにはその恐れがあります。緑内障と決まったら、点眼薬と内服薬を常用し、それで改善されなければ手術ということになります。定期的な検査が必要です。手術は簡単で、レーザーで虹彩に穴をあけるだけですから、10分ほどで済みます。出血もありません。

 

三石巌先生のアドバイス:目のレンズつまり水晶体は、毛様体という名の筋肉の働きで厚さの調節がなされています。血液はこの毛様体を通過してリンパとなり、水晶体を洗うようにして虹彩との間の隙間を流れて前房に入ります。そして、すみっこの隅角のところで静脈に流れ込むわけです。遠視の人は隅角が狭く、老人は水晶体が大きいので、とかく房水の流れが悪くなります。すると、前房水の圧力が高まってくるのです。結局、眼圧が高くなるのは、房水の通路が狭いためで、それには水晶体と虹彩とが近づきすぎた場合と、隅角の抵抗が大きすぎた場合とがあると考えて良いでしょう。前者の場合には、虹彩に穴をあけて房水の通路を広げれば良いわけです。角膜と虹彩とがくっついてしまうと、レーザーというわけにはいきません。緑内障のきっかけは何かというと、たいていは強いストレスです。ストレスがあると副腎皮質ホルモンが出てきますが、このホルモンは、合成にも分解にも活性酸素を作ります。そのために血中の不飽和脂肪酸が酸化して、過酸化脂質になります。これが血液の粘度を高めて、循環障害を起こすことが考えられます。それならばビタミンEがよかろうと、読者諸君はお気づきでしょう。私の立場からすれば、それが正解なのです。事実、これで眼圧の下がった例はいくらもあります。無論、ビタミンCも併用するのが良いのです。それにしても、循環障害の性質と無関係に、ビタミン療法に期待をかけてはなりますまい。また、ビタミンEをのんでもだめなときには、品物を変えてみてください。吸収率や作用は、品物によって大幅に違いますから。

 

自然治癒の健康相談(58)ノイローゼは自分で治せますか

相談者(19歳男性):一昨年からノイローゼで悩んでいます。授業中に、急に気が狂うのではないかという不安感に襲われたのがきっかけで、それ以来、試験の時、乗り物に乗った時、よくそういう発作が起きます。昨年、隣人を殴りそうな気分になったり、教室で叫びたくなったりしたことがあります。自分の努力でこれを直したいのですが。

専門医の診断:狂気不安や予期不安は、あれもこれも気になって、何も手につかない人にありがちな症状です。雑念が次々と浮かんで、何も手につかないところから焦りの出る現象は、思春期によく起こります。若者の成人化への意欲が、強い欲求不満となり、それを自己の力の弱さと思い込むところから不安が生じるのです。一定の期間、1つの対象に集中する努力が必要です。このような不安は、暇があると頭をもたげるものです。したがって、勉強か、スポーツか、趣味に打ち込んで、1日を充実させれば、悩みはたちまち解消するはずです。必要以上の不安に駆られること自体がノイローゼなので、これは精神病でも何でもありません。

 

三石巌先生のアドバイス:

少なくとも、不安の発作時にはストレスが起きています。第一の対策は、そこに焦点を当てるべきでしょう。つまりそれは、高タンパク食にビタミンCと言うことです。発作時に血中ビタミンC濃度が低下し、それが悪循環的に不安をエスカレートしている、と考えることができるでしょう。あなたは、タンパク質やビタミンCの不足しがちな食習慣を持っているのではありませんか?ビタミンCの必要量は、おそらく10グラム以上でしょう。思春期には、血中ビタミンE濃度が低下して、性ホルモンのバランスの激動を表します。あなたの悩みは、性ホルモンのバランスよりも、神経ホルモンのバランスに関係していると思いますが、これもビタミンEの役割があるような気がします。それは、女性の更年期に血中ビタミンE濃度が低下し、精神的な障害を起こすことのある事実からも想像できます。そこで私は、高タンパク食、ビタミンCのほかに、ビタミンEの大量摂取をお勧めしたいと考えます。このようにして、体の栄養的条件を整えた上で、専門医の意見に耳を傾けるのが順序ではないでしょうか。

 

自然治癒の健康相談(57)甲状腺が悪いのですが

相談者(47歳主婦):半年前から吸気が冷たく感じ、四六時中マスクとマフラーが離せなくなりました。やがて、声がかすれ、首が太くカチカチになりました。倦怠感がひどく、目が半分しか開かないので本も読めません。膀胱炎も起き、喉が痛くて流動食しかとれず、時々自殺を考えています。私は若いとき扁桃腺を摘出したのですが、ないはずの扁桃腺が腫れて痛むのです。病院の検査では、甲状腺が悪いと言われました。医師の薬のほかに、漢方薬から、電気治療やハリもせっせとやったのですが、さっぱりよくなりません。

 

三石巌先生のアドバイス:

かつて、ルーマニアの医学者ポンチューは、自殺者の甲状腺を調べて、ほとんど例外なしにそこに異常のあることを発見しました。私は、あなたの話とこれとを結びつけたくなります。一方、あなたの年齢では、更年期障害から来る不定愁訴を思わないわけにいきません。そこでまず、更年期に特徴的なビタミンEの血中濃度の低下に対して、対策を立てることの急務を思います。病院の薬も漢方薬もハリも電気も結構ですが、とにかくビタミンEの大量投与が先決条件のはずです。あなたの強烈なストレスに対しても、また膀胱炎に対しても、ビタミンCの大量投与が良いでしょう。ビタミンCを大量にとれば、一部が尿に出て行く事は知られていますが、これは、ビタミンCが膀胱にたまることを意味します。そこで、ビタミンCの殺菌作用がものを言うはずです。膀胱炎は細菌の感染症ですから。それから、食事内容についてですが、流動食では低タンパク食を免れません。配合タンパクでも利用して高タンパク食にすることが必要です。タンパク質不足では、膀胱炎の原因になっている細菌に対する抗体を作るのにも不自由します。抗体はタンパク質ですから。目や消化器の状態を考えると、ビタミンAも欲しいと思います。結局、ビタミンのEとCとA、それに高タンパク食ということを私は考えます。

その後の経過:

兄や妹が、彼女の死の影を見た、と言う程で、当時の彼女には生気がありませんでした。でも、これまでの流動食を配合タンパクに切り替え、それとビタミンだけの食事をしているうちに、太かった首は細くなり、カチカチは取れ、体に弾力がついた感じになりました。膀胱炎も扁桃炎もなくなり、食事らしい食事をやめてしまったのに、3ヶ月ほどで元気になったのです。おっかなびっくりテニスコートに出てみたら、1人前のプレーができて、嬉しくなりました。目が半分しか開かなかったのは、ビタミンAを増量してみたところ、1週間もたたないうちにちゃんと開いて、本が読めるようになりました。

半月足らずして病院で診てもらった時、先生に、「甲状腺はすっかり治っている。あの症状はどこへ行ったのか、不思議だ」と言われました。これで、病気の問屋としての長い病院通いが終りました。彼女は、若い時のようにタフで、冗談を飛ばして人を笑わせるようになりました。20代から彼女は、鼻汁が口に流れ込むために、5分間に一回ほど、鉄砲のように鼻を鳴らさずにはいられませんでした。元気を取り戻してからも、この「鼻鉄砲」はそのままだったので、私はビタミンAの鼻孔への注入をすすめました。鼻腔粘膜の改善を狙ったわけです。これは、1週間もたたないうちに、忘れたように治って、メガビタミン主義を嘲笑っていた夫君の意識の変革に役立ったと言うことです。

自然治癒の健康相談(56)甲状腺の悪化が心配です

相談者(31歳の女性):ちょっとした動きをしても動悸が激しく、駅の階段を上るのも一苦労でした。一年前に下痢が始まり、1ヵ月で体重が10キロも減ったので、診察を受けました。その結果、自律神経失調症と言うことで、精神安定剤をもらったら、下痢は治まりました。しかし、疲れやすく調子が悪いので、風邪引きを機会に病院に行きましたところ、甲状腺機能障害と言うことで、ホルモン剤をもらっています。悪化すれば手術しなければならないそうですが、何か良い方法はありませんか。

 

三石巌先生のアドバイス:

甲状腺機能障害は、ヨードが少なすぎても多すぎても起きます。あなたの場合、まずヨードの不足が想定されるのでヨード卵を取ることにしましょう。ヨードは甲状腺ホルモンの材料ですが、甲状腺機能を抑制する働きをします。また、血中ビタミンC濃度の低下も想定されるので、ビタミンCをなるべく大量に摂ることにしましょう。疲れやすさは、体液の酸性化と結びつけられますので、アルカリ化のために、カルシウム剤とビタミンK剤を取ることにしましょう。その他、ビタミンA、ビタミンBも摂りたいと思います。高タンパク食も必要です。甲状腺ホルモンの合成にビタミンEが関係しているはずです。これもお勧めします。

その後の経過:

血友病のお子さんをお持ちのせいもあって、彼女はよく宅を訪ねてこられました。甲状腺機能については、専門病院で絶えず検査を受けていました。そして、最初の相談に見えてから4年後にとうとう甲状腺機能に異常なしとの診断を下されました。初めて相談に見えた時、彼女は不気味に太い首をタートルネックのセーターで隠し、スローテンポの口の聞き方をしていましたが、今はその片鱗もありません。

自然治癒の健康相談(55)光化学スモッグにやられやすいのですが

相談者(中2女子):光化学スモッグが出たとき、クラスの他の人と比べて、私が特にひどくやられます。意識不明になったこともあります。光化学スモッグに強い体にならなくては損だと思うのですが。現在、微熱があり、肝臓が腫れています。

三石巌先生のアドバイス:

光化学スモッグ被害者の自覚症状には、次のように種々雑多なものがあります。痙攣、倦怠感、めまい、意識障害、頭痛、腰痛、発汗、発疹、目のチカチカ、視力低下、鼻水、喉の痛み、咳、痰、呼吸困難、胸痛、心悸高進、腹痛、吐き気、下痢、食欲不振、手の硬直、脱力感、冷え、関節痛など。臨床所見としては、眼科・耳鼻科的炎症、肝臓腫大、タンパク尿などのほか、アルカリフォスファターゼ値上昇、白血球数増加などの血液の異常が、自覚症状のない人にもかなり大きな比率で発見されています。同じ場所にいて同じ光化学スモッグにであっても、このような異常が、すべての人に同じに現れるわけではありません。学校で、光化学スモッグに強い体を作るのだと言って、警報下にわざわざ戸外で体育の授業を強行する先生がいるのも、根拠はこんなところにあるのでしょう。光化学スモッグの人体に及ぼす影響について、だれもまだはっきりしたものをつかんでいません。ただ、ここに挙げた症状のかなり多くのものが、乳酸塩の静注によって起こる症状とダブっていることがわかります。血中乳酸値は、酸欠状態で増えますから、肺でのガス交換の阻害によって、この状態が起きたと言う想像も成り立ちます。ところで、乳酸塩の静注の時、カルシウム塩を混ぜると、症状がほとんど出なくなります。そこで、日常カルシウムを十分にとっているかいないかで、光化学スモッグによる症状に差ができることが考えられます。一方、肺でのガス交換の低下は、光化学スモッグの主成分であるオゾンによって起きます。肺のガス交換の器官は肺胞と言って、房についたブドウの実に似た形のものです。茎を通ってきた空気が実に入って、それを取り巻く毛細血管に酸素を送り込むのです。オゾンと呼ばれる形態の酸素は、肺に入ると、変化して活性酸素になります。これが肺胞を酸化して、その機能を喪失させるのです。ガス交換ができない状態に陥るわけで、肺は「肺気腫」と呼ばれるものになります。そういうわけで、ビタミンEの活性酸素除去作用が、ここでものを言うことになるのです。結局、日常の食生活で、ビタミンEとカルシウムとが豊富に摂れている人は、光化学スモッグに強いと言うことになると思います。肝臓や腎臓のことを考慮すれば、高タンパク食やビタミンB2も、カギになっているに違いありません。肺胞の膜の酸化は連鎖反応の形をとりますから、症状が出たときすぐにビタミンEをとれば、障害が軽くて済みます。この場合、ビタミンB2も効果があると言われます。なお、血清カルシウムは、イオン状態になってはじめて、この場面で働きを表すのでしょうから、ビタミンKを摂ることにも、たぶん意義があるだろうと思います。ビタミンKは、血清カルシウムをイオン化する作用を持っているからです。ビタミンKは、薬としても手に入りますが、パセリとか、ダイコンやカブの葉とか、ワカメとかにも含まれています。したがって、食生活に留意すれば、ある程度まで間に合うと思います。

自然治癒の健康相談(54)蕁麻疹の療法を教えてください

相談者①(26歳男性):結婚後まもなく、それまで経験のない蕁麻疹が出るようになりました。赤く丸い膨疹が、毎日朝晩の区別なしに、全身に出たり引っ込んだりして痒く、一つ一つは数時間のうちに消えます。顔はカサカサして、毎日のように落屑します。

専門医の診断:慢性蕁麻疹は、体質と寄生微生物に対するアレルギーとが相補的に働いて起こるものとされ、食事とは無関係です。顔がカサカサするのはアトピー体質のせいで、寄生微生物は、喉の常在菌であるのが普通です。治療としては、抗生物質の1ヵ月連用、もしくは扁桃の摘出が行われますが、成功例は稀です。検便して、回虫やギョウ虫の有無を調べる必要があります。一時的な対象療法剤としては、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン、アトロピンなどが使われますが、レセルピンを1~2年連用するのがよろしいかと思います。この降圧剤が慢性蕁麻疹になぜ効くのかは分かりません。しかし、根気よくこれを利用して良くなることが、経験上知られています。

相談者②(15歳女性):兄と一緒に蕁麻疹にかかり、兄は注射3本で完治しましたが、旅行で医者にかかれなかった私はだめです。ホモクロミンを毎日2錠ずつ飲んでいます。慢性になるとこんなに長引くものですか。

専門医の診断②:蕁麻疹も、急性型は意外に治りやすいのですが、慢性型はなかなか治らないことがあります。発症後1ヵ月間、医師の指示通りの治療をして治らないものは、慢性蕁麻疹とみなして良いでしょう。この病気の原因は、①食品、②長期連用の内服薬、③消化器の病気、④生活環境にあるアレルゲン、もしくは⑤不明と言うことになります。

朝・昼・ 晩および間食の食餌日記をつけ、そこに、発疹部位と強弱の度を記入したものを検討し、食品との関係、生活環境因子との関係を見つける努力が必要です。ホモクロミンは補助療法としては結構です。

相談者③(高3男子):昨年から蕁麻疹に悩んでいます。注射や内服薬をやっていますが、効き目が現れません。鶏卵には敏感ですが、加熱すればなんともありません。空腹になると発疹ができ、食事をするとすぐ治ります。

専門医の診断③:原因が、鶏卵のような食品に対するアレルギーなのか、空腹による低血糖など自律神経系やホルモン系の失調なのか、はっきりしません。蕁麻疹は大抵の場合、体質が過敏化したことによるとみるべきです。過敏症の原因を付き止めるように努力する一方、体質の改善に向かう努力をすることが必要です。抗ヒスタミン剤ステロイド剤がよく用いられますが、前者には眠気を催すものもあります。したがって、容量や服用の時刻に注意する必要があります。

相談者④(22歳女性):手・足・顔・首など、露出した部位に蕁麻疹が現れ、ひどくかゆくて、かいた後はたちまち赤く膨れあがります。注射を受けていますが、少しも良くなりません。完治する方法は無いのでしょうか。

専門医の診断④:冷たい水や外気に触れて発症するものを寒冷蕁麻疹といいます。食事・薬・風呂・機械的刺激が動機になるものもありますが、不明のものもあります。蕁麻疹は一度起きると、あとはちょっとした刺激で再発するようになって、動機がつかめないことがよくあります。湿疹や喘息の出やすい体質をアトピー体質と言いますが、これは、蕁麻疹の出やすい体質でもあります。膠原病感染症寄生虫症、内臓疾患、などが原因になる蕁麻疹もありますがこれはごく少ないと言われます。抗ヒスタミン剤とレセルピンとの併用は、動機と無関係に、発症を抑えることができます。再発の予防には、アトピー体質や内臓疾患の有無を専門医に調べてもらった上で、対策を立てる必要があるでしょう。寒冷蕁麻疹とわかった場合には、急に寒いところに出ないようにし、前記の薬を飲むことをしばらく続けることです。そうしているうちに、条件反射が自然に消えることがあります。

 

三石巌先生のアドバイス:アトピーは、「不思議な病気」の意味で、特定の物質に対する先天的過敏性を特徴とし、その体質は遺伝するとされています。アトピー体質は、喘息や蕁麻疹を起こしやすい体質と言うことになります。したがって、慢性蕁麻疹の場合、これがまず疑われるのが当然の順序です。①の診断で、慢性蕁麻疹を食事と無関係としたのは、体質に重点を置いた見解と見るべきでしょう。それにしても、アトピー性皮膚炎の外用薬として、ビタミンA、Dを主剤とする軟膏が効くとされているところを見ると、この体質も、慢性蕁麻疹も、食事内容と関係なしと断定するのは無理のように思われます。とするならば、アトピー体質も私の「体質論」の中で十分に説明できるものになりそうです。ただし、私の体質論はややこしいし、すでに『人間への挑戦』その他で論じてありますので、ここでは触れないことにします。

ただ、一言で言う結論は、体質的な欠陥の多くが、ビタミンの大量投与によってカバーできるということです。私に経験があるわけではありませんが、慢性蕁麻疹に対して、高タンパク食と、ビタミンA、B2、B6、C、Eをすすめてみたいと思います。ここには、皮膚炎が強いストレッサーになっていると言う認識があり、皮膚の結合組織と機能を完全にしようという意図があり、さらに、皮膚細胞の自己消化を防ごうとする意図があります。

ここに挙げた栄養物質が1つでも不足すれば、肌の栄養条件に欠陥が起きるわけですから、どんな障害が起きてもおかしくありません。ましてや、アトピー体質でビタミンAかDかを大量に要求する条件があれば、皮膚炎の公算は異常に大きくなるはずではありませんか。慢性蕁麻疹の特効薬レセルピンには、これらビタミンの消費を抑制する作用があるのではないでしょうか。適齢期のOLには、すぐにぐったりして、蕁麻疹が出るような人がよく見られます。このような急性蕁麻疹には、ストレスとみなされるものがあるような気がします。これが、高タンパク食とビタミンCとで解決する性質のものである事は、言うまでもありますまい。なお、③に鶏卵のことがありますが、卵のタンパク質が、人間にとっては異種タンパクであり、それがアレルゲンになる人がいます。この時、その異種タンパクが未消化のまま小腸で吸収され、血中に入ったことになります。牛乳も、全く同様にして、それがアレルギーを起こす場合があります。加熱すれば大丈夫とありますが、それも一般的に言えることです。タンパク質は、加熱すれば変性してしまうし、消化しやすくもなります。したがって、その一部が未消化のまま血中に入ってもアレルゲンとしての活性を発揮することができなくなるのです。蕁麻疹では皮膚に炎症が起き、そこに活性酸素の発生があるはずです。これが炎症を悪化させると思われます。ビタミンEの塗布が有効なケースのある事は、その活性酸素除去作用によるものでしょう。これをやってみるのが良いかもしれません。ただし純正品でないとだめです。