orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(8)結婚前なのにニキビに悩んでいます

相談者(結婚前の女性):三年前からニキビができ始めました…結婚前で、悩んでいます…皮膚科・内科で受診し、食事や化粧品に注意してきましたが、一進一退です。

専門医の診断:ニキビは毛孔から出る脂肪が多すぎて毛嚢にたまる病気です。脂肪を分泌する皮脂腺の機能は、男性ホルモンによって高進し、女性ホルモンによって抑制されます。女性は卵巣から女性ホルモン、副腎皮質から男性ホルモンを出します。思春期になって肉体が発育すると、副腎の働きは盛んになりますが、卵巣がこれに伴わないと、皮脂腺の機能がやたらに高進し、脂肪の分泌がオーバーになりニキビとなってふきだします。朝夕セッケンで洗顔し、糖質を控え、抗脂漏剤のクリームを塗ればたいていは治ります。化膿したら皮膚科で受診し、抗生物質の内服、または副腎皮質ホルモン剤の注射を受けると良いです。

 

三石巌先生のアドバイス

性ホルモンは16種類あって、そのうち10種は女性ホルモン、6種は男性ホルモンです。副腎皮質はこの16種類全てを作ります。その上に、男性では精巣が、女性では卵巣が、主として性に特有なホルモンを作って追加します。それで、男では男性ホルモンの割合が、女では女性ホルモンの割合が大きくなります。ここには、性ホルモンのバランスがあるわけです。ニキビがそのバランスが崩れたことの印であることは専門医の診断でおわかりでしょう。そこで、性ホルモンのアンバランスを取り戻す方法があれば、それがニキビの治療法のヒントを与えることになるはずです。ところで、性ホルモンの原料はコレステロールです。それがまず、黄体ホルモンという一種の女性ホルモンに変わるのです。それは男でも女でも同じことです。そしてその代謝は、副腎皮質でも、精巣でも、卵巣でも起こります。こうしてできた黄体ホルモンは、二つの道をたどります。一つは、副腎皮質ホルモンのコーチゾンやコルチゾールに変化する道、もう一つは、男性ホルモンのテストステロンに変化する道です。そしてこのテストステロンの一部は、さらに女性ホルモンのエストラジオールに変化します。このややこしく絡み合った男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが、いかにデリケートなものかが想像できるでしょう。性ホルモンの出発点は黄体ホルモンです。だから、これの製造に骨が折れるようではバランスはありえないでしょう。

f:id:orthomolecular:20220202112447j:plain

性ホルモンとと副腎皮質の関係

コレステロールが黄体ホルモンに変化する反応には、ビタミンEが必要です。だから、ビタミンEが不足だったら、性ホルモンのバランスは難しくなります。そこで、ニキビに対して、ビタミンEの服用が考えられることになります。実は、ビタミンEを飲んでニキビが出た例もありますから、これでニキビが絶対に治ると思ったら失望することがあるでしょう。しかし、ビタミンEがこれの根本的な治療のカギであることに変わりはないと思います。

ビタミンEの血中濃度を調べてみると、異常に低くなる時期が二つあります。一つは思春期、一つは更年期です。ニキビは思春期にもありますが、更年期にも例があります。ビタミンEについてですが、この場合はホルモンが目当てですから、天然品の方が合成品より良いはずです。普通品の必要量は一日400単位(IU)ぐらいと思いますが、それより少なくても効く場合もあるでしょう。したがって、100単位あたりから始めて様子を見ながら増量したら、と思います。なお、皮膚はかなり更新の早い組織ですから、タンパク質や、皮膚の代謝に必要なビタミンB2、C 、A、B6などが不足しては、治るものも治らないでしょう。日常の食生活を点検して、これらの補給に抜かりがないかどうか、確かめてください。