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分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(12)ひどい頭痛・頭重の原因はなんでしょう

相談者①(28歳男性):学生時代から頭痛持ちでしたが、最近は三日に一度は頭痛に悩まされます。その時は食欲もなくなります。薬は一時的にしか効きません。なお、精密検査の結果、軽い胃潰瘍と診断されましたが、誤診ではないでしょうか。

専門医の診断①:あなたのような慢性頭痛で一番多いのは、偏頭痛と緊張性頭痛です。この二つは区別できないこともあり、合併して起こることもあります。典型的な偏頭痛は、目まい、視力障害などの前触れの後で、ずきんずきんと頭が痛みだし、吐き気を催したり、光を眩しく感じたり、などの症状をあらわします。横になってひと眠りすれば、症状が去ってさっぱりする、といった経過を特徴とします。また、前触れなしに、吐き気、下痢などの胃腸症状をあらわすタイプもあります。偏頭痛といっても片側だけとは限りません。このように頭痛と胃腸症状とは密接に関連していますが、胃腸病を頭痛の原因と見るのは間違いです。ある一つの原因から、頭痛と胃腸症状とが起きたと考えるのがか正しいのです。だから、頭痛に対して適切な治療を施せば、胃腸病も治ってしまうことがあります。原因としては、ストレスが重視されています。これに、内分泌障害、アレルギー、ビタミン欠乏、飲酒、過労など、さまざまな原因が複合的にはたらくと考えられます。治療としては、無用の緊張や過労を避け、睡眠を十分にとることです。薬剤は専門医の指示によってトランキライザー精神安定剤)を服用してみてください。頭痛には、高血圧、脳腫瘍などによるものもありますから、専門医に診てもらうことです。

相談者②(19歳女子高生):2年前から、全身倦怠と頭重に悩まされています。時々、鼻の中がちぎれるように痛み、その直後に強烈な頭痛、めまい、舌の痺れがおき、足がふらつきます。最近は足の全体に神経痛が起きています。

専門医の診断②:

全身倦怠は、もしも、過労、睡眠不足、偏食など、日常生活の要因がないとすれば、どこかに病気があると考えなくてはなりません。専門医の検査を必要とします。鼻の中心の痛みの原因としては、鼻中隔湾曲症、蓄膿症、扁桃炎、歯科系疾患、歯の咬合不正、目の病気、メガネの不適など、さまざまなものが考えられます。

次にめまいですが、これが耳鳴りや難聴を伴うならば、メニエール病と呼ばれる内耳の病気によることが多いのです。そうでない場合は、脳の中に血流の異常が起きたとか、腫瘍ができたとか、何かに原因を求めなければなりません。自律神経失調症、心臓病、胃病、外傷の後遺症、などが原因になることもあります。大病院で、耳鼻科、眼科、神経科、婦人科など、いろいろな科で診察を受けてください。

 

三石巌先生のアドバイス

素人が、新聞紙上を借りて健康相談をするのは、大病院などへ行きたくないからだろうと思います。結局は、自分でなんとかならないか、と考えているわけでしょう。

①の場合の回答には、頭痛と胃腸症状とが共通の原因からきた、という見解が述べられています。また、その原因として、ストレスやビタミン欠乏などが挙げられています。私としてはビタミン欠乏に焦点を合わせたいのです。高血圧とか脳腫瘍とかを心配して病院の門をたたく前に、また、トランキライザーに手を出す前に、無難な治療法をとるのが順序だと思います。専門医の示唆する通り、ビタミン欠乏を想定して、それを服用してみることです。

脳に障害のない場合の頭痛は、酸欠によるものが大多数です。これは、ビタミンEの服用で治ります。私たちの呼吸する酸素の平均43%は、不飽和脂肪酸の酸化に使われるといわれます。この酸化は、エネルギーの発生とは無関係で、過酸化脂質を作ります。そしてそれは、全く無駄で、しかも有害な化学反応です。この不飽和脂肪酸の自動酸化を防ぐことができれば、有効な酸素が二倍近くに増えるわけですから、脳の酸欠は救えることになります。そして、それを防ぐのが、ビタミンEの役目の一つなのです。

血液の中の不飽和脂肪酸が自動酸化を起こして過酸化脂質となると、血液がねばってきます。

これでは、脳の血行がスムーズに行くはずがありません。しかも、血液の運ぶ酸素は少ないのです。脳の酸欠は当然の結果でしょう。そして、それが頭痛を引き起こすのです。

ビタミンEのこの働きを抗酸化作用と言いますが、抗酸化作用を持つ物質が不足すると、胃壁の細胞膜に含まれている不飽和脂肪酸も、自動酸化を起こします。すると、細胞膜が傷んでただれてきます。これが胃に起きれば胃潰瘍です。

頭痛と胃潰瘍とが共通の原因で起こることが、おわかりでしょう。頭痛が長年続いているとすると、魚のような不飽和脂肪酸の多いものを余計に摂る食習慣がおありかどうか、知りたくなります。

頭痛はストレッサーの一つですから、これによってビタミンCとタンパク質との大量消費が起きているはずです。もし、そこまでしてどうにもならなかったら、観念して専門医を訪ね、その指示を受けることにしましょう。

②となると、私の出番はなさそうです。ただ、一部の歯科医が、頭痛の50%は歯の咬合不正によると主張していることをお知らせします。そういっている先生なら、自分のところへこい、咬合を調べてやるから、というでしょう。ただし、これは保険がききません。

脳は、理想の咬合状態を常に求めています。歯の配置に何かの問題があって、理想の咬合がどうしてもできない時、脳はくたびれ果てます。そして、頭痛の症状を起こす、というのです。

なおあなたの場合、ストレスは相当なものです。そのストレスが全般的な症状を悪化させているはずです。その悪循環を断ち切る努力を、何より優先させるべきです。そのことを頭に置いたとき、ストレス対策の重要性に気づきます。ビタミンE、ビタミンCを取り入れた高タンパク食をやってみたらどうでしょうか。実は、蓄膿症がそれで治った例もあるのです。

専門医の診断の中に、トランキライザーの勧めがありました。これは効果的ではあっても、副作用がバカになりません。精神安定剤は、強力なメージャートランキライザーと、温和なマイナートランキライザーとの二つに分類されています。後者の場合でも、自律神経を失調させ、また、酵素の働きを阻害し、染色体の異常を起こす恐れあり、とされています。こういうものには、なるべく手を出さないことだと思います。医師の管理があったとしても、安全の保証は無いと考えるのが良いでしょう。なお、メージャートランキライザーの副作用としては、パーキンソン症候群自律神経失調症、肝臓障害、などが挙げられています。