orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(36)耳鳴りの原因と治療法を教えてください

相談者①(37歳男性):今年の初めの風邪がもとで、右耳がジーと鳴り出し、やがて左耳にもそれが始まりました。今では食事の時や、横向きに寝る時などに耳鳴りがします。空腹時や心配事があると悪化し、後頭部が重苦しい感じです。医師の診断では聴神経炎と言われましたが、不安です。

専門医の診断①:耳鳴りの原因には①耳そのものの障害、②血液や血圧の異常、③循環系の障害、④歯の咬合の不正、⑤精神的疾患、⑥過労、などがあります。これらの原因を探り当てるのには、耳鼻科的検査だけではだめです。内科的、神経科的な検査も必要になります。あなたの場合、聴神経炎と言われたそうですが、ものを噛むとか、退位とかで耳鳴りが始まるとすると、原因は違うようです。循環系または精神科系のもののようです。

 

相談者②(49歳女性):10年前から左耳にひどい耳鳴りがあります。6年前には、ひどいめまいと吐き気があって、死ぬかと思うほどでした。以来、同じ症状を繰り返しています。二度ほど入院し、耳の後ろに痛い注射をしましたが、良くなりません。

専門医の診断②:めまい発作の時、耳鳴りがひどく、かつ難聴を起こすなら、左耳のメニエール病が疑われます。典型的なメニエール病であれば、めまい発作の時、起きていられなくなるはずです。メニエール病の原因は内耳にありますが、その病理はよくわかっていません。めまいの発作は、内服薬で防げることがありますが、薬を飲んでも頻繁に起きるようでしたら手術をします。しかし、耳鳴りや難聴が回復することはあまり期待できません。

 

相談者③(31歳主婦):昼夜の別なく10年間も耳鳴りに悩まされています。脳神経科で、脳波やレントゲンの検査を受けましたが、異常がないとのことです。聴力検査によると、低音はよく聞こえ、高音はあまり聞こえません。血圧は正常ですが、めまいは時々あります。原因がはっきりしないので困ります。

専門医の診断③:耳鳴りの原因は、外耳道の異物、内耳の病気、聴神経の障害、などです。音を伝える器官や神経に異常があると、難聴を伴います。めまいは、耳鳴りや難聴によくついてまわります。この時のめまいはひどく、吐き気を伴いがちです。あなたの場合、耳鼻科の検査で原因をつきとめることが必要です。慢性の中耳炎などがあれば、その治療をしなければなりません。ただ、10年も続いているとすると、心理的な要因が十分に想像されますから、その方の専門家に相談することも有効です。ストレプトマイシンなど、聴神経をおかす薬を使ったことがあるかどうかも、考え合わせてください。

 

相談者④(30歳女性):10年前のある日突然、高い山に登ったような状態になり、その翌朝から右の耳にコトコト音がするようになりました。未だに治りません。現在では、耳と耳の上から高い音が鳴って、頭全体が痺れて重い感じです。

専門医の診断④:この病状について考えられるのは、鼻から耳に通じる耳管の働きが一時的に悪くなったためではないか、あるいは、脳神経に異常が起きたためではないか、の二つです。前者の原因では、頑固な症状が長くつづくとは思われませんので、後者の原因を想定したくなります。聴神経の障害というのは、過労や精神的なストレスが誘因となって、内耳の聴神経組織を取り巻く血液が鈍ることから起きたと考えられます。この時、突如として閉塞感が起き、耳鳴りが始まります。同時に、難聴や頭重感の加わることがしばしばです。このタイプの耳鳴りは若い女性に多く、生理期に関連する場合が多いようです。あなたの場合も、これだと思いますが、精密検査を受けてください。もし、これと診断がおりれば、薬物療法以外に方法はありません。

 

相談者⑤(38歳主婦):今年の二月から左の耳が鳴っています。病院では、耳管の炎症だから一週間で治ると言われました。しかし、半月経っても治らないので、病院を変えました。今度の病院では、聴神経がおかされていると言われ、耳管に空気を通したり、薬の服用や注射をされたりしたのですが、これでも治りません。聴力検査では、高音の聴取がわずかに悪いと言われました。内科的検査では、血圧が少し高い他には、どこにも異常がありません。

専門医の診断⑤:現在のところ、耳鳴りに対する決定的な療法はありません。なぜ起こるかについても、決定的な学説はありません。しかし、聴神経の異常興奮によるのではないか、内耳の蓋膜や有毛細胞に刺激があるのではないか、などさまざまなことが言われてはいます。耳鳴りを起こす病気としては、耳管炎、中耳炎、内耳や超神経の障害のほか、動脈硬化、薬物中毒、などがあります。耳管炎や中耳炎による耳鳴りは音が低く、耳管の通気や内耳腔の分泌物除去で、かなり良くなるのがふつうです。あなたのように、高音の耳鳴りが続く場合は、内耳や聴神経に関連することが多く、治りにくいようです。しかし、命に別状はないのですから、気にしないで慣れることが必要です。薬としては、血管拡張剤、血行促進剤、鎮静剤、ホルモン剤精神安定剤、ビタミン剤、などが使われます。しかし、決定的な特効薬はまだ見つかっていません。

 

三石巌先生のアドバイス:

私がぶつかった一つの例を紹介しましょう。この人は60歳で、かつてノモンハン事件に従軍した軍人です。ノモンハンで砲弾の破裂に出会った時から耳鳴りが始まり、30年以上、それに悩まされました。そして5年前に、ふとしたことからビタミンEを大量に飲み始めました。もともと丈夫な人ですから、ビタミンEも面倒になり、まもなくやめてしまいました。すると、すっかり忘れていた耳鳴りが戻ってきました。そこで初めてビタミンEで耳鳴りが治っていたことに気づいたわけです。専門医の先生方が血行障害に触れていますが、聴神経の周りの組織の血行を良くすることは、改善に繋がると考えて良いでしょう。ビタミンEは、血液の粘度を下げて、血行を良くします。この旧軍人の場合、それで完全に治ったわけです。全ての耳鳴りがビタミンEだけで治るとは考えられませんが、このエピソードは、一部の耳鳴り患者には朗報になるだろうと思います。血管拡張作用を持つといわれるニコチン酸(ナイアシン)の併用も、有効な場合があることでしょう。耳鳴りによく使われる鎮静剤、ホルモン剤精神安定剤などを常用するのは、副作用の点で問題を起こす恐れがあります。ビタミンEやニコチン酸(ナイアシン)の大量投与を、まず試みるべきでしょう。

聴神経の障害にストレスが絡んでいると、専門医の診断にありますが、ここに注目するならば、高タンパク食とビタミンCをとることを考えなければなりません。順序とすれば、日常の食生活の中で、ビタミンE、ニコチン酸(ナイアシン)、ビタミンC、タンパク質、などのうちのどれかが不足していないかを反省するところから、解決のカギを探るべきだといえましょう。なお、ビタミンB1の大量注射で難聴が改善された例があります。