orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(43)肩こりで頭痛がしますが

相談者(55歳女性):

肩こりに悩まされています。ひどいときには、頭痛がしてきます。トクホンのようなものを買ったり、揉んでもらったりしても、あまり効果はありません。

三石巌先生のアドバイス:

肩が凝っている感じの時、肩や首筋の筋肉の細胞がパンパンに張って、血管や神経を圧迫しています。そのために、筋肉への栄養の補給が悪くなり、圧迫された神経が鈍痛を起こします。

筋肉が凝って硬くなる現象は、私どもの経験の中ではありふれたものですが、その十分な説明は無いようです。エネルギー発生に伴って発生した乳酸が、細胞の中に溜まって圧力を押し上げたと言うのが常識的説明だと思います。そこに私は追加を試みたいのです。実は、エネルギー発生に伴う現象の1つに活性酸素の発生があります。この活性酸素が、筋肉のフィラメント(第7問参照)や、それをカバーしているレシチンを主とするリン脂質を酸化するのではあるまいか、というのが私の仮説なのです。

リン脂質の酸化とは、それの持つ不飽和脂肪酸の酸化を意味しますから、これによって過酸化脂質の出現となります。この油の酸化物はフィラメントを粘りつけるので、筋繊維は伸縮ができなくなるばかりでなく、全体が硬くなるはずです。結局私は、乳酸の蓄積とリン脂質の酸化とで、筋肉のコリを説明したいと考えているわけです。

筋肉のフィラメントは、筋肉の機能の単位ですから、これが酸化したら大変です。そこで、これをカバーするリン脂質には、フィラメントの身代わりになって、活性酸素の作用を阻止する役割があります。それがうまくゆけばフィラメントは酸化せずにいられるわけです。

ところで、高タンパク食に、レシチンを加えると、筋肉が柔らかくなって張りが出てくると言うのが、マッサージ関係の人たちの一致した意見です。この解釈はいろいろでしょうが、さしあたっては、酸化して駄目になったフィラメントやリン脂質の補給のためにタンパク質やレシチンが利用されたため、と考えることができるでしょう。

それはつまり特別な労働をしない場合でもフィラメントやリン脂質の変化が起きていると言うことでしょう。別の表現にすれば、筋肉は絶えずタンパク質やレシチンを要求していると言う事でもあります。結局、タンパク質やレシチンの不足のない筋肉は、凝りにくく、また凝りが取れやすいことになります。普通の凝りに対しては、ビタミンEの服用や塗布がかなり効果があります。ビタミンEには酸化を抑制する作用があるからです。ビタミンEを塗ってマッサージをするのが効果的です。ビタミンB1にも、凝りを防ぎ凝りを取れやすくする作用があります。これには、乳酸の発生を抑える働きがあるためです。筋肉の凝りに対しては、揉んだりこすったりする治療法がよく行われます。こうすると、筋肉細胞にたまった乳酸が追い出される一方、粘りついて固まったフィラメントがほぐれることになるからだろうと私は考えています。それにしても、あんまやマッサージで凝りを和らげてみても、物質的な条件と欠陥があれば、逆戻りしても不思議はありません。従来の医師や治療師が、栄養の問題を無視してきたという事実のある事は確かですが、これは本当に残念なことです。あなたの場合も、私から見れば、根本は栄養の問題です。卵や肉などをたっぷり食べること、レシチンのためにおからをとること、ビタミンEに手を出すことなどをお勧めします。