orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(54)蕁麻疹の療法を教えてください

相談者①(26歳男性):結婚後まもなく、それまで経験のない蕁麻疹が出るようになりました。赤く丸い膨疹が、毎日朝晩の区別なしに、全身に出たり引っ込んだりして痒く、一つ一つは数時間のうちに消えます。顔はカサカサして、毎日のように落屑します。

専門医の診断:慢性蕁麻疹は、体質と寄生微生物に対するアレルギーとが相補的に働いて起こるものとされ、食事とは無関係です。顔がカサカサするのはアトピー体質のせいで、寄生微生物は、喉の常在菌であるのが普通です。治療としては、抗生物質の1ヵ月連用、もしくは扁桃の摘出が行われますが、成功例は稀です。検便して、回虫やギョウ虫の有無を調べる必要があります。一時的な対象療法剤としては、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン、アトロピンなどが使われますが、レセルピンを1~2年連用するのがよろしいかと思います。この降圧剤が慢性蕁麻疹になぜ効くのかは分かりません。しかし、根気よくこれを利用して良くなることが、経験上知られています。

相談者②(15歳女性):兄と一緒に蕁麻疹にかかり、兄は注射3本で完治しましたが、旅行で医者にかかれなかった私はだめです。ホモクロミンを毎日2錠ずつ飲んでいます。慢性になるとこんなに長引くものですか。

専門医の診断②:蕁麻疹も、急性型は意外に治りやすいのですが、慢性型はなかなか治らないことがあります。発症後1ヵ月間、医師の指示通りの治療をして治らないものは、慢性蕁麻疹とみなして良いでしょう。この病気の原因は、①食品、②長期連用の内服薬、③消化器の病気、④生活環境にあるアレルゲン、もしくは⑤不明と言うことになります。

朝・昼・ 晩および間食の食餌日記をつけ、そこに、発疹部位と強弱の度を記入したものを検討し、食品との関係、生活環境因子との関係を見つける努力が必要です。ホモクロミンは補助療法としては結構です。

相談者③(高3男子):昨年から蕁麻疹に悩んでいます。注射や内服薬をやっていますが、効き目が現れません。鶏卵には敏感ですが、加熱すればなんともありません。空腹になると発疹ができ、食事をするとすぐ治ります。

専門医の診断③:原因が、鶏卵のような食品に対するアレルギーなのか、空腹による低血糖など自律神経系やホルモン系の失調なのか、はっきりしません。蕁麻疹は大抵の場合、体質が過敏化したことによるとみるべきです。過敏症の原因を付き止めるように努力する一方、体質の改善に向かう努力をすることが必要です。抗ヒスタミン剤ステロイド剤がよく用いられますが、前者には眠気を催すものもあります。したがって、容量や服用の時刻に注意する必要があります。

相談者④(22歳女性):手・足・顔・首など、露出した部位に蕁麻疹が現れ、ひどくかゆくて、かいた後はたちまち赤く膨れあがります。注射を受けていますが、少しも良くなりません。完治する方法は無いのでしょうか。

専門医の診断④:冷たい水や外気に触れて発症するものを寒冷蕁麻疹といいます。食事・薬・風呂・機械的刺激が動機になるものもありますが、不明のものもあります。蕁麻疹は一度起きると、あとはちょっとした刺激で再発するようになって、動機がつかめないことがよくあります。湿疹や喘息の出やすい体質をアトピー体質と言いますが、これは、蕁麻疹の出やすい体質でもあります。膠原病感染症寄生虫症、内臓疾患、などが原因になる蕁麻疹もありますがこれはごく少ないと言われます。抗ヒスタミン剤とレセルピンとの併用は、動機と無関係に、発症を抑えることができます。再発の予防には、アトピー体質や内臓疾患の有無を専門医に調べてもらった上で、対策を立てる必要があるでしょう。寒冷蕁麻疹とわかった場合には、急に寒いところに出ないようにし、前記の薬を飲むことをしばらく続けることです。そうしているうちに、条件反射が自然に消えることがあります。

 

三石巌先生のアドバイス:アトピーは、「不思議な病気」の意味で、特定の物質に対する先天的過敏性を特徴とし、その体質は遺伝するとされています。アトピー体質は、喘息や蕁麻疹を起こしやすい体質と言うことになります。したがって、慢性蕁麻疹の場合、これがまず疑われるのが当然の順序です。①の診断で、慢性蕁麻疹を食事と無関係としたのは、体質に重点を置いた見解と見るべきでしょう。それにしても、アトピー性皮膚炎の外用薬として、ビタミンA、Dを主剤とする軟膏が効くとされているところを見ると、この体質も、慢性蕁麻疹も、食事内容と関係なしと断定するのは無理のように思われます。とするならば、アトピー体質も私の「体質論」の中で十分に説明できるものになりそうです。ただし、私の体質論はややこしいし、すでに『人間への挑戦』その他で論じてありますので、ここでは触れないことにします。

ただ、一言で言う結論は、体質的な欠陥の多くが、ビタミンの大量投与によってカバーできるということです。私に経験があるわけではありませんが、慢性蕁麻疹に対して、高タンパク食と、ビタミンA、B2、B6、C、Eをすすめてみたいと思います。ここには、皮膚炎が強いストレッサーになっていると言う認識があり、皮膚の結合組織と機能を完全にしようという意図があり、さらに、皮膚細胞の自己消化を防ごうとする意図があります。

ここに挙げた栄養物質が1つでも不足すれば、肌の栄養条件に欠陥が起きるわけですから、どんな障害が起きてもおかしくありません。ましてや、アトピー体質でビタミンAかDかを大量に要求する条件があれば、皮膚炎の公算は異常に大きくなるはずではありませんか。慢性蕁麻疹の特効薬レセルピンには、これらビタミンの消費を抑制する作用があるのではないでしょうか。適齢期のOLには、すぐにぐったりして、蕁麻疹が出るような人がよく見られます。このような急性蕁麻疹には、ストレスとみなされるものがあるような気がします。これが、高タンパク食とビタミンCとで解決する性質のものである事は、言うまでもありますまい。なお、③に鶏卵のことがありますが、卵のタンパク質が、人間にとっては異種タンパクであり、それがアレルゲンになる人がいます。この時、その異種タンパクが未消化のまま小腸で吸収され、血中に入ったことになります。牛乳も、全く同様にして、それがアレルギーを起こす場合があります。加熱すれば大丈夫とありますが、それも一般的に言えることです。タンパク質は、加熱すれば変性してしまうし、消化しやすくもなります。したがって、その一部が未消化のまま血中に入ってもアレルゲンとしての活性を発揮することができなくなるのです。蕁麻疹では皮膚に炎症が起き、そこに活性酸素の発生があるはずです。これが炎症を悪化させると思われます。ビタミンEの塗布が有効なケースのある事は、その活性酸素除去作用によるものでしょう。これをやってみるのが良いかもしれません。ただし純正品でないとだめです。