orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(55)光化学スモッグにやられやすいのですが

相談者(中2女子):光化学スモッグが出たとき、クラスの他の人と比べて、私が特にひどくやられます。意識不明になったこともあります。光化学スモッグに強い体にならなくては損だと思うのですが。現在、微熱があり、肝臓が腫れています。

三石巌先生のアドバイス:

光化学スモッグ被害者の自覚症状には、次のように種々雑多なものがあります。痙攣、倦怠感、めまい、意識障害、頭痛、腰痛、発汗、発疹、目のチカチカ、視力低下、鼻水、喉の痛み、咳、痰、呼吸困難、胸痛、心悸高進、腹痛、吐き気、下痢、食欲不振、手の硬直、脱力感、冷え、関節痛など。臨床所見としては、眼科・耳鼻科的炎症、肝臓腫大、タンパク尿などのほか、アルカリフォスファターゼ値上昇、白血球数増加などの血液の異常が、自覚症状のない人にもかなり大きな比率で発見されています。同じ場所にいて同じ光化学スモッグにであっても、このような異常が、すべての人に同じに現れるわけではありません。学校で、光化学スモッグに強い体を作るのだと言って、警報下にわざわざ戸外で体育の授業を強行する先生がいるのも、根拠はこんなところにあるのでしょう。光化学スモッグの人体に及ぼす影響について、だれもまだはっきりしたものをつかんでいません。ただ、ここに挙げた症状のかなり多くのものが、乳酸塩の静注によって起こる症状とダブっていることがわかります。血中乳酸値は、酸欠状態で増えますから、肺でのガス交換の阻害によって、この状態が起きたと言う想像も成り立ちます。ところで、乳酸塩の静注の時、カルシウム塩を混ぜると、症状がほとんど出なくなります。そこで、日常カルシウムを十分にとっているかいないかで、光化学スモッグによる症状に差ができることが考えられます。一方、肺でのガス交換の低下は、光化学スモッグの主成分であるオゾンによって起きます。肺のガス交換の器官は肺胞と言って、房についたブドウの実に似た形のものです。茎を通ってきた空気が実に入って、それを取り巻く毛細血管に酸素を送り込むのです。オゾンと呼ばれる形態の酸素は、肺に入ると、変化して活性酸素になります。これが肺胞を酸化して、その機能を喪失させるのです。ガス交換ができない状態に陥るわけで、肺は「肺気腫」と呼ばれるものになります。そういうわけで、ビタミンEの活性酸素除去作用が、ここでものを言うことになるのです。結局、日常の食生活で、ビタミンEとカルシウムとが豊富に摂れている人は、光化学スモッグに強いと言うことになると思います。肝臓や腎臓のことを考慮すれば、高タンパク食やビタミンB2も、カギになっているに違いありません。肺胞の膜の酸化は連鎖反応の形をとりますから、症状が出たときすぐにビタミンEをとれば、障害が軽くて済みます。この場合、ビタミンB2も効果があると言われます。なお、血清カルシウムは、イオン状態になってはじめて、この場面で働きを表すのでしょうから、ビタミンKを摂ることにも、たぶん意義があるだろうと思います。ビタミンKは、血清カルシウムをイオン化する作用を持っているからです。ビタミンKは、薬としても手に入りますが、パセリとか、ダイコンやカブの葉とか、ワカメとかにも含まれています。したがって、食生活に留意すれば、ある程度まで間に合うと思います。