orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(67)はげは治らないものでしょうか

相談者(55歳男性):半年前、友人に1枚の写真を見せられました。顔がよく見えない角度だったので、てっきり、あの中曽根さんだと思って笑ったら、「君の頭だ」と言われてガックリしました。内緒で薬局を訪ねて、いろいろな毛生え薬を試してみましたが、抜け毛が少なくなった程度で、明るい兆しは見えません。ハゲは治らないものでしょうか。

 

三石巌先生のアドバイス:金力にも権力にもこと欠かないはずの中曽根氏が、毛生え薬に手を出さないはずがないでしょう。それを裏書きする話も聞かされたことがあります。中曽根氏は、毛生え薬が効かないことの証人といえるのかもしれません。2年ほど前、私の家にヘアクリニックの経営者と称する人物が現れました。大阪のある人が発明した毛生え薬を使って、はげを治す店を開いているというふれこみでした。その薬でトリートメントをすると、ポヤポヤと生ぶ毛が生えてくるから、詐欺にはならないけれど、本当の毛が生えてこないと、お客さんに気の毒だから、何とかしてくれという話です。私ははげの専門家ではありませんので、かたく断ったのですが、その人はどうしても引き下がりません。切羽つまっていたのでしょう。私は仕方なしに、ビタミンEとレシチンとセレンを指示して、ようやく解放された次第でした。半年ほど経ってからの報告によると、若い女性の場合は百発百中、中年の男性でも成績が良かったが、大多数を占める若い男性の場合は全然だめで困った、何とかならないかという話でした。結局、私はその人に見切りをつけられて、ほっとしているわけです。

私自身の頭についていいますと、10年ほど前のこと、中曽根氏の頭の毛が横に走っている部分に手を当てたら、毛が全然ありませんでした。しかし、いまは、手に毛が当たるようになっています。

自然治癒の健康相談(66)ダイエットで痩せたいのですが

相談者(25歳女性):身長161センチ、体重65キロで、大女と言われるのが嫌で、鈴木式ダイエットをやってみました。忠実にやると確かに5キロぐらいは減量できるのですが、疲れやすくなります。もっとましなダイエットは無いのでしょうか。

 

三石巌先生のアドバイス:ダイエットとは食事療法の意味ですから、痩せるためのダイエットというものがあって当たり前です。しかし、ベストのダイエットが鈴木式と言えるかどうかが問題です。ノーベル賞を受けた分子生物学者ジャック=モノーは、「生体の合目的性を保証するものはタンパク質である」と、名著『偶然と必然』の中に書いています。また栄養学の先覚者香川綾女史の令息で自治医大にいる香川靖雄教授は、「世界中にタンパク質をとりすぎている人はいない」と雑誌『科学』に書いています。

あなたが疲れやすいということは、合目的性が損われている証拠で、その原因はタンパク不足です。これは、鈴木式ダイエットの特徴だと私は思っています。痩せるためのダイエットの第一条件は高タンパク食です。そして糖質を減らせば良いのです。それには、配合タンパクの利用が便利でしょう。あなたの程度では肥満とは言えませんが、肥満に遺伝的要素が絡んでいる事は、一卵性双生児について実証済みなのです。だから、ダイエットではどうにもならない体質的な肥満もあるわけです。欧米人には遺伝的な肥満が多いものだから、痩せるためのダイエット用の薬品や器具が根強く市場に出ています。液状タンパクもその一つですが、これはコラーゲンという良質でないタンパク質が主成分になっているので、体を壊す恐れがあります。これで死んだ人が出たりしたこともあるからでしょうか、液状プロテインは日本では評判が良くないようです。アメリカではレシチンも使われます。これは大豆からとったもので、問題はありません。レシチンの「チン」は、英語のスペルがTHINで、痩せることを意味するということもあって、なかなか人気があります。レシチンには界面活性作用があって、脂肪を乳化して排出する働きがあるのですから、スペルの迷信だとして馬鹿にするのはあたりません。配合タンパクととレシチンに興味を持たれたら、いかがでしょうか。

自然治癒の健康相談(65)高脂血症といわれましたが

相談者(48歳女性):先日、循環器・肝機能の検査を受けたところ、高脂血症で要注意と言われました。心電図に異常はなく、血圧は140~78、血清総コレステロールは272でした。

専門医の診断:高脂血症とは、血液中のコレステロール中性脂肪など脂質の濃度が高すぎる状態を指します。日本人の場合、コレステロールの平均値は190 (100ミリリットル中190ミリグラム)あたりです。高コレステロール血症との診断の目安は220以上とされていますが、300を超えると問題になります。中性脂肪の方は、150以下が正常、750を超すと高度の異常とされます。

血中コレステロールにはHDL・LDLの二種があって、前者は善玉、後者は悪玉と呼ばれます。両者の和が総コレステロールです。総コレステロール272のうち、LDLの数値が問題になります。高脂血症があっても大半は無症状ですが、心筋梗塞などの原因になりますから、総コレステロールが300を超えたら、定期的な指導を受け、コレステロール低下剤を常用しなければなりません。

 

三石巌先生のアドバイス:LDLは肝臓でできたコレステロールを血管壁へ運ぶ役目の分子、HDLは血管壁の余剰のコレステロールを肝臓に連れ戻す役目の分子です。LDLは160以下、HDLは50以上が好ましいとされます。(詳しくは『成人病は予防できる』144ページ以下をお読みください)。ビタミンCには、LDLを胆汁酸に変える働きがあります。ビタミンEや少量のアルコール、適度な運動には、HDLを増やす働きがあります。ニコチン酸には、LDLを減らしHDLを増やす働きがあります。レシチンには血中中性脂肪を減らす働きがあります。

アミノ酸と言えば、読者諸君の常識は、タンパク質の構成要素としてそれを位置づけることでしょう。ところが、タンパク質と無関係なアミノ酸もあります。そのうち脚光を浴びているのが「タウリン」です。これは、アミノ酸システインから合成されますが、貝類などに大量に含まれています。これが総コレステロールを下げるというところから、アメリカでは、アワビのステーキが流行ってきたそうです。このような情報を総動員すれば、高脂血症もこわくないと私は信じています。コレステロール低下剤については副作用が問題になっていますから、あなたも、ビタミン類を利用したらいかがですか。

厚生省筋からビタミンE ・Cのとりすぎに対する警告が出ましたが、これをまにうける学者はほとんど皆無です。厚生省の狙いは、いわゆる健康食品業者の中の悪質なものに一撃を与えることにあったものでしょう。ビタミンEが肝臓に障害を与えたという報告はたった一例だと思いますが、これはよほど質の悪い製品の場合でしょう。ビタミンCは大量にとっても無駄だと言う話がありますが、摂取量の半分が排出されるには10〜14日もかかることがわかっています。コレステロール値を下げようとしたら、どのビタミンも、微量では効果が上がらないと思います。

自然治癒の健康相談(64)胆石と手術

相談者(45歳女性):レントゲン検査で胆石が見つかりました。アズキ大のものが20~30個とのことです。疲れると背中や胆嚢のあたりが重苦しい感じになりますが、痛みの経験はありません。手術を勧められているのですが。

専門医の診断:胆石には、コレステロールの石とビリルビンの石とがあります。前者は胆嚢にできやすく、後者は胆管にできやすいという違いはありますが、どちらも胆汁の成分です。日本人では成人の7%が胆石を持っていますが、多くは症状をあらわさないので「サイレントストーン」と呼ばれます。ビリルビン系の石は、痛みとともに黄胆や発熱を繰り返す傾向もあって、重い合併症を起こしやすいので、手術によって摘出する方が安心です。コレステロール系の石の場合、「胃けいれん」と呼ばれる激痛が時々起きるようだと、手術によって胆嚢とともに摘出するのが普通です。胆汁酸の成分のウルソデオキシコール酸には胆石を溶かす作用があるので、治療のためにそれを使うことがあります。

 

三石巌先生のアドバイス:NHKのテレビカメラマンH氏は腹痛を繰り返すので、病院では胆石の手術を勧められていました。仕事が忙しくもあり手術が嫌でもあったので、レシチンをとることにしました。すると、1ヵ月で症状がなくなり、3ヶ月で石が見えなくなりました。そこで、海底に潜って戦艦大和の撮影をするまでに元気になりました。

動物には胆嚢のあるものもないものもありますが、犬には胆嚢があるのに、胆石ができることはありません。これは、血中にレシチンがたくさん含まれているせいです。あなたのように胆石持ちの人では、血中レシチン濃度が正常値の3分の1以下だと言われています。だから私とすれば、レシチンをお勧めすることになりますが、医師からウルソデオキシコール酸製剤をもらって、両者をとるのも良いでしょう。胆石には、カルシウムの被膜をかぶったものがありますが、これは始末が悪いので、まず、その皮を溶かさなければなりません。それには「塩酸レモナーデ」を使います。これは薬局方希塩酸を水で薄めて砂糖で調味した、一種の清涼飲料水です。これをじゃんじゃん飲むのです。なお、レントゲンの検査で、胆嚢に石がいっぱい詰まっているとわかったら、手術が良いと思います。こうなると、レシチンもウルソデオキシコール酸も、胆嚢に入れないからです。なお、レシチンを含む食品としては、おからや卵があります。

自然治癒の健康相談(63)遊走腎といわれましたが

相談者(42歳主婦):血尿が出たので、医師の診断を受けたら遊走腎と言われました。腎機能に異常がなく血圧も正常だから特別な注意は要らないと言われましたが、心配です。

専門医の診断:腎臓の位置は、普通の人でも呼吸によって少しは動きますが、遊走腎の場合はそれがひどく、起き上がると骨盤のあたりまで下がる人さえいます。腎臓が下がると膀胱につながる尿管がまがるので、排尿がスムーズでなくなったり、腎臓が張ってきたりします。腰痛のほか、あなたのように血尿の出る場合もあります。起立性の高血圧を起こす場合もあります。遊走腎は、産後に起こることもありますが、痩せた胴長の人によく見られます。胃下垂と合併する場合もあります。血尿が頻繁に起こるようでしたら、腎臓を固定するための手術を行います。コルセットで固定する方法もありますが、太って治す方法もあります。定期的に尿検査を受けてください。

 

三石巌先生のアドバイス:腎臓は腎床とよばれるもので支えられていますが、男性ではこれが筋肉組織であるのに、女性ではそれが脂肪組織です。あなたの場合、脂肪が不足していることになります。したがって、脂肪を増やすことが、解決の道になるわけです。脂肪を増やすには、糖質とアルコールとを同時に取るのが良いと思います。アルコールは少量で良いのです。夕食の時、ワインでもいかがですか。

自然治癒の健康相談(62)脈が乱れますが

相談者(47歳主婦):脈が乱れて胸が苦しくなることが度々です。医師の診断では心室性期外収縮で、心配ないということでした。このまま放っておいたら、心臓が弱るのではないでしょうか。薬はもらっていません。

専門医の診断:期外収縮とは、周期から外れた収縮のことです。この時、心臓に異常な興奮が起き、正常な周期より早めに収縮が起きます。それで「不整脈」となるのです。この異常な収縮は、独立して起きたり、正常な拍動と交互に起きたり、いろいろです。期外収縮では、血液の拍出量が不十分になります。心臓には、上部に心房が2つ、下部に心室が2つあって、心房の上にペースメーカーとなる洞結節があります。心臓はここからくる電気信号で拍動するわけですが、これとは別に、心室筋が勝手に興奮して信号を送れば、心室性期外収縮となります。あなたの年齢になると、健康な人にも期外収縮が起きます。疲労や不摂生が原因です。だから、薬は飲まなくて良いのです。

 

三石巌先生のアドバイス:不整脈は、心筋梗塞狭心症・心筋炎・弁膜症などでも起きます。これに対しては、抗不整脈剤が使われます。抗不整脈剤はいろいろですが、中には自己免疫病を誘導するものもあるくらいで、副作用が心配です。安全なのはビタミンの一種ユビキノン(コエンザイムQ)です。これは要指示薬の指定があるので、医師の指示なしでは手に入りません。二重盲検によって10%以上の人に効くと分かった薬は要指示薬になるので、一般市民の手に入らない制度ができているのです。ユビキノンは10人に1人以上に効くので、ビタミンでありながら、素人には買えないのです。(1989年当時)

ユビキノンは、生体のエネルギー発生装置ミトコンドリアに含まれているので、動物性食品にも、植物性食品にも存在するはずですが、量はわずかです。その材料はビタミンEですから、それをとっても良いわけです。ユビキノンは、エネルギー発生に重要な役割を演じるばかりでなく、エネルギー発生に伴って出てくる活性酸素を除去してくれます。これが不整脈に効くということは、この病状の原因が心筋のエネルギー不足によることを示唆しています。不整脈対策として、私はユビキノンとビタミンCをおすすめします。

自然治癒の健康相談(61)単純性ヘルペスといわれましたが

相談者(32歳男性):唇によく水ぶくれができて崩れますが、自然に治ります。単純性ヘルペスと言う診断です。子どもへの影響が心配です。1歳と4歳で、アトピー性皮膚炎が出ます。

専門医の診断:ヘルペスとは一群のウイルスの総称です。その感染症には、単純性疱疹と帯状疱疹の2種があります。いずれも、アワ粒ほどの水ぶくれがべったりできて赤くなり、やがて崩れますが、かさぶたができ、それが取れて、10日から2週間ぐらいで自然に治ります。この時、ウイルスはその部位の神経節に残っていて、ストレスなどのきっかけがあると、活動を再開します。こうして、年に1~2回から5~6回は再発するのが普通です。免疫抗体を持たないアトピー性皮膚炎の乳幼児がヘルペスに感染すると、全身に疱疹ができ、発熱と脱水症状を起こします。あなたは、お子さんと接触してはなりません。治療のための特効薬がないので、早期に水疱を破って乾燥化をはかることになります。

 

三石巌先生のアドバイス:ウイルスと聞けば「インターフェロン」を思い出すのが、私どもの常識です。そして、インターフェロンを作るのにビタミンCが役割を持つというのも、私どもの常識です。インターフェロンは糖タンパクですから。ヘルペス対策としては、高タンパク食とビタミンCということになります。ビタミンCは、10グラム程度の大量をとらなければ効ません。インターフェロンはすべての細胞に合成能力がありますので、ビタミンCを溶かした水を患部に塗ることも有効です。それによって乾燥化が促進されるようです。帯状疱疹についても同様です。