orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(1)糖尿病で体重が減った母ですが

相談者:母は六年前から糖尿病と診断され、当時60キロあった体重が、今は50キロぐらいです。ずっと同じ先生にかかり、同じ薬を服用していますが、食事が遅れると体に震えがきて、気持ちが悪くなるそうです。薬を飲まない時は、そういうことはないのですが。

 

専門医の診断:経口血糖降下剤には、低血糖事故や長期連用による心臓血管障害などがあるので、禁止説が出ています。低血糖の症状としては、震えのほか、倦怠感、冷汗、顔面蒼白、動悸、異常空腹感などがあり、意識消失さえもあります。糖尿病内服薬に対して、我が国では、低血糖事故に注意しながら、適量を選んで使えば良いという意見が主流をなしています。この患者の場合、その薬が適切とは思えないので、担当医と至急相談する必要があります。

 

三石巌先生のアドバイス経口血糖降下剤は、サルファ剤系がよく使われます。これの副作用で、脳、網膜、腎臓、心臓、などに障害の起きることがあります。アスピリンや酒との併用は、極端な低血糖を招く危険があります。私も糖尿をやりましたが、薬は全部で20錠とは飲んでいません。糖尿病の対策として、私の推薦するものは、4つです。第一はビタミンEとC、第二は可視光線、第三はリンパマッサージ、第四は低周波電気通電です。私の場合も、初期には著しい体重減少を見ましたが、病前の体重が66キロ、身長167センチでしたから、原因は太り過ぎではなく、鉛中毒でした。いずれにしても体重の減少は、糖尿病としては重症です。糖尿病は、血糖値を下げる働きのインシュリンが不足する病気です。そしてこのホルモンを作るのは、膵臓のランゲルハンス島にあるベータ細胞です。多くの糖尿病では、ベータ細胞内でインシュリンが作られていても、それがスムーズに分泌されません。ですから、その細胞膜の透過性を正常にすれば、改善が見られるはずです、この働きはビタミンEにも、サルファ剤系の糖尿病薬にもあります。ただここで、ビタミンEの働きが文字通りの正常化であるのに対し、後者の働きが強引である点に違いがあります。このビタミンはおそらく、インシュリンの合成代謝にも関係しているでしょうから、糖尿病治療のための決め手と言って過言でないと思います。ビタミンCの作用は三つあって、第一は、腸壁での糖の吸収を抑えて、血糖値の上昇を防ぐ作用です。第二は、ブドウ糖をグリコーゲンに変えるインシュリンの働きを助ける作用です。こんな作用のあることは、インシュリンを注射すると、血中ビタミンC濃度が下がることからわかります。第三は、膵臓の組織を正常に保つ作用です。この作用のあることは、ビタミンCが欠乏すると、膵臓の変性が外見にまで現れ、しかもそれが、ビタミンC投与によって回復することからわかります。

そこで、1日の摂取量の問題ですが、ビタミンEについてもビタミンCについても、一定の基準があるわけではなく、要するに治るまで増量してゆくことになります。ビタミンEについて言えば、それが600単位(単位=IU)の人もあるでしょうし、1000単位の人も、2000単位の人もあるということです。ビタミンCについても同様です。1日の必要量が500mgの人も、2gの人も、5gの人もいるでしょう。ビタミンEを2000国際単位、ビタミンCを10gというような大量投与でも治らない糖尿病は、ベータ細胞の死滅も考えられるので、インシュリンのごやっかいにならなければならないでしょう。インシュリン注射なしで、この二つのビタミンで治ったら、その後は維持量の問題が起こります。ビタミンEとCで治ったということは、原因がこれらの不足にあったとの証拠でしょう。維持量がいくらかという問題も、自分の実践で発見できることです。

ビタミンEの大量投与は、急激に行わないのが無事です。特に動脈硬化のある人では、50単位(IU)以下から始めます。そして、めまいなどの無いことを確かめながら、ゆっくりと増量してゆきます。そうでないと、動脈内壁の沈着物が剥がれ落ち、それが細い血管を塞ぐような事故が起き、こわくなってしまうことがあるのです。小規模の梗塞の場合、軽いめまい、頭痛、吐き気があります。この時は静かに横になっていれば毛細血管の新生によるバイパスができ、1日もしないうちに症状は消えます。動脈硬化のある人は、ビタミンEの初めの一日量を、20単位程度とします。ただし市販の食用小麦胚芽油は、0.2〜0.3%のビタミンEしか含んでいませんから、これならテーブルスプーン4〜5杯から始めて良いのです。これでせいぜい20単位ぐらいのものです。天然ビタミンE添加の小麦胚芽油もあります。増量プランとしては、20単位を1週間、50単位を1週間という具合に、わずかずつ増量してゆくのが安全です。

血管がきれいになれば、大量投与の事故は起きません。私は一日に3000単位をとりつづけた経験があります。

第二の可視光線については『ガンは予防できる』に、第三のリンパマッサージと、第四の低周波通電については『日常生活の健康情報』に書いたので、ここでは最も有力な方法としての高ビタミン食を紹介するだけにしておきます。

医師の薬に頼る人が、本書のプロジェクトへの転換をのぞむ場合、糖尿病の薬を二分の一ないし三分の一にカットすると同時にこれを始めるのが良いでしょう。薬を最終的にはゼロにするつもりで、ビタミンEを増量してゆくのです。

第二、第三、第四の方法をとる場合にも、ビタミンE、Cの併用が効果的です。

正統な糖尿病対策は、体重を減らすことを目的とする減食です。インシュリンの量が少ないのですから、体重をそれに見合うまで減らす、という理論です。メガビタミン療法では、減食の必要はほとんどありません。減食すると自然に低タンパク食に陥りやすく、そのための被害は意外に大きいものです。減食は、高タンパクの条件を満たすように計画されなければならないのです。なお、糖尿病患者は、横になっている時間が長いほど有利です。膵臓に流れる血液の量が3倍以上に増え、これが機能回復のための必須の条件となるからです。あなたの場合、経口血糖降下剤と縁を切るつもりで、ビタミン投与を始めれば、こんないやな状態から抜け出せると思います。

 

出典:「自然治癒の健康相談 その実例とアドバイス」三石巌 著 太平出版社(1989)

 

〜三石巌先生〜

分子栄養学/分子生物学/化学/物理学

1901年、東京生まれ。慶応大・津田塾大教授を歴任。

ご自身も糖尿病を患いながら食事制限はせず、「高タンパク・高ビタミン・活性酸素の除去」を実践・提唱し、90歳を超えても執筆活動を続け、95歳で亡くなる2週間前まで雪山でのスキーを楽しまれていた。死去の際、担当医は「ガンなど一切なく、臓器はすべて正常でした。三石理論でガンが予防できることを、ご自身の体で証明されたのですね」と語ったという。