orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(18)妊婦の風疹について教えてください

相談者①(30歳主婦):2歳の男の子が風疹と診断されました。私にはなんの症状もありませんが、来年三月出産の予定なので、胎児が心配です。中絶すべきでしょうか。私も30歳をこえていますので、生みたいのですが。

専門医の診断①:妊婦が風疹にかかると、胎児に、流産、早産、死産、未熟児、心臓奇形、白内障、聾などの異常をおこすことがあります。しかし、これら異常の発生する率は、母体が感染したときの妊娠の時期によってちがいます。妊娠初期に感染すると、異常の発生率は約20%ですが、四ヶ月をすぎるとずっと低くなります。風疹は、先端の赤い発疹がでて、三日ぐらいで消える病気です。ただしこのとき、37度台の軽い発熱と、耳のうしろ、後頭部、あごの下、鼠蹊部などなどのリンパ節がはれます。感染するのはおもに小児や小中学生です。しかし、不顕性感染といって、発疹などのはっきりした症状のあらわれない場合があって、それが胎児に影響をあたえることも、まれにあります。あなたの場合、症状がありませんから、すでに免疫ができていて、感染しなかったと判断するのがふつうです。都会地では、成人の85%以上が免疫性をもっているとされています。心配なのは、免疫がなくて不顕性感染があった場合ですが、妊娠月数とあわせて、胎児への影響を推測しなければなりません。しかし、あわてて中絶を思いたつのは考えものです。

相談者②(29歳主婦):一児の母です。現在、妊娠五ヶ月めです。一ヶ月前から足にブツブツがでてかゆいものですから診察してもらったところ、妊娠中毒症だから心配はいらない、とのことでした。ところが、最近また全身に小さなブツブツができて、かゆくてこまっています。風疹ではないでしょうか。

専門医の診断②:

風疹の発疹は顔にはじまり、一日以内に急速に全身にひろがりますが、三日目には消えはじめます。風疹が「三日はしか」の別名をもっているのは、そのためです。風疹では、後頭部のリンパ節がはれて、ひどく痛み、はれがひくのに一ヶ月もかかることがあります。これらの特徴などを考えあわせると、あなたの発疹は風疹ではなく、妊娠性疱疹、多型浸出性紅斑、妊娠性痒疹、疱状疹、膿痂疹、乾癬、などのうちのどれかでしょう。皮膚科の診察をうけてください。

 

三石巌先生のアドバイス

分子生物学の立場からの発想は、このような場合、とくに積極的です。風邪同様、風疹もウイルス感染症ですから、そこに的をしぼります。

もっとも、②の場合のように、風疹かどうか不明であれば、むろんそれなりの対策がなければなりません。皮膚科の先生の診察をうけるのが常道でしょう。しかし、即刻しかるべき専門医の診察をうける便宜があるならともかく、2〜3日ぐずぐずしているのだったら、まずビタミンCを、と私は考えます。それは、ウイルス攻撃もさることながら、妊娠というストレッサーを頭においての対策のつもりです。

妊婦がストレスをおこしているところに、風疹の心配が加わったら、いわばダブルパンチです。わるくすれば、そのストレスが発疹の形をとらないとはかぎらないと思います。

ビタミンC大量投与の急先鋒はアメリカのクレナーですが、かれにいわせれば、ウイルス感染症にかかった体重50キログラムの成人には、2〜4時間ごとに3.2〜11.0グラムが必要ということです。そこまでやれば、ウイルスは発育も増殖もできなくなる、というのです。むろん、ここには個人差の問題がかくれているわけですから、いざ実行となったら、各自に適切な判断をしなければなりません。ただ、大量をとるにこしたことはない、という原則はあります。ビタミンCをとりすぎたところで、せいぜい下痢ぐらいのもので、心配は無用です。①の場合にも、風疹と診断されたら、すぐにビタミンCをやるのが正しいと思います。また、②には妊娠中毒という病名がでていますが、これにもビタミンCがきいた、という報告があるのです。

妊娠は、とにかくストレスをおこしているのですから、風疹の心配をするまえから、高タンパク食とビタミンCとをこころがけるべきだと思います。

なお、風疹の免疫は一生きえません。そのことを利用して、「風疹ワクチン」ができています。風疹にかかったことのない若い女性は、これを予防接種したら良いと思います。これの副作用は1000人に1〜2人といわれますが、軽い発疹、リンパ節のはれ、軽い関節炎ぐらいのもので、心配はないそうです。