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分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(20)ガンの転移がこわいのですが

相談者(50歳女性):一年まえに乳ガンにかかって、右側乳房を切除しました。腕がはれたり、首の感じが変だったり、胸がつったりして、たえず、転移ではないかと心配しています。いまは二ヶ月に一回、定期検診をうけていますが、大丈夫でしょうか。

 

三石巌先生のアドバイス

二ヶ月に一回の検診というのは、二ヶ月の時間をおいたら、どんな変化がおきているかを、主として転移について検査をする診察です。ということは、ガン細胞がよそに定着して、そこで発見可能な大きさまで増殖するのに相当な時間がかかる、ということです。

ふつう、ガンの病巣がそれを診断できるためには、その直径が1センチ近くならなければなりません。すると、細胞数は10億程度になります。最初は一個だったガン細胞が、10億にふえるまで、ガンは発見できないにひとしいということになります。だから、転移と診断されるよりまえに、手を打つことができるのなら、手を打ちたい、とだれしも思うでしょう。

くわしいことは『ガンは予防できる』に記しておきましたが、乳ガンの場合、転移先は、肺、骨盤、頸部リンパ節、などが多いようです。骨盤転移の場合、骨軟化物質というのがでて、それが骨盤の組織をがさがさにしたところに、ガン細胞が定着する、というような報告があらわれました。そして、プロスタグランディンとよばれるその骨軟化物質の生成が、アスピリンでおさえられる、ということです。もし、この研究にまちがいがないならば、アスピリンの常用で、骨盤転移の予防ができることになります。

アスピリンといえば、解熱剤として知られている薬です。値段が安いために医者はあまり使いませんが、私はこれを大いに利用しています。発熱という現象は、体温中枢をプロスタグランディンが刺激しておこるといわれます。プロスタグランディンの生成をおさえることが、アスピリンの解熱作用の実態のようです。

アスピリンを服用すると胃がおかしくなる人がいますが、これは日本人の食生活のなかで、ビタミンAが不足している証拠です。このようなことは、欧米人にはめずらしいことです。イギリスの家庭医は、アスピリンをやたらに処方しますが、胃の障害はほとんどみられません。アスピリンはとりたてるほどの副作用はなく、その一グラムは四時間で分解します。

ところで、ガン細胞のかたまりができて、それが大きくなるためには、周囲の組織に食いこんでいかなければなりません。そこで、結合組織は、繊維状タンパク質コラーゲン(→第6問)

自然治癒の健康相談(6)脳卒中になりはしないかと心配です - orthomolecular’s blog

や、粘質多糖体ヒアルロン酸(→第17問)など

自然治癒の健康相談(17)風邪をひきやすいのですが - orthomolecular’s blog

からできています。正常なコラーゲンと、十分なヒアルロン酸とがあれば、結合組織ががっちりスクラムを組んでいるために、ガン細胞は強いしめつけにあって、なかなか成長することができません。末期ガンの患者でも、ビタミンCによって天寿を全うする人は20%、とポーリングはいいます。

完全なコラーゲンをつくるためにはビタミンCがなければならないことを、第17問に書いておきました。また、ヒアルロン酸の分解を防ぐはたらきが、ビタミンCにあります。だから、ビタミンCは、結合組織強化のカギと言ってよいものです。

結合組織のしめつけだけでは、ガン細胞に直接の攻撃をかけることにはなりません。攻撃をかけるものをリンパ球といいます。これがどんどんつくられれば、ガン細胞は破裂してしまいます。このところ有名になった丸山ワクチンは、リンパ球をふやす方法として、その効果が説明されています。ところが、リンパ球をつくるのには、リンパ系組織での細胞分裂が必要です。そして、細胞分裂というものは、無限におこなわれるものではありません。ある回数で頭打ちになってしますのです。これを「ヘイフリックの限界」といいます。

よく、ガン年齢ということばが聞かれますが、これは、ヘイフリックの限界がきた年齢を意味すると思ってよいでしょう。そして、ガン年齢にきたことで、万事をあきらめなければならないとしたら、科学もたいしたことはない、とばかにする人がいるかもしれません。

ところが、この限界の延長ができるのです。そして、それがビタミンEのはたらきの一つとなっています。この場合、ビタミンEは、天然品でなくてもかまいません。正、このための一日必要量は、体重50キロならば最低500単位というような見当です。

転移の予防もふくめて、ガンの予防について初めて理論を発表した人は、ワールブルクというドイツの人です。その理論は、イギリスのクレーブスの研究に立脚したものでした。

私たちのからだではエネルギーを作りださなければなりませんが、それには、酸素を利用する好気的な方法と、酸素なしの嫌気的な方法とがあります。クレーブスは、好気的な方法にはビタミンB群がなけれなならないことを発見しました。ということは、ビタミンB群がないと、嫌気的な方法でエネルギーをつくらなければならなくなるということです。

一方、ワールブルクは、ビタミンB群による、ガンの予防や治療を夢にえがいて亡くなりました。こんなわけで私は、ビタミンCとEとB群とを、転移予防の柱と考えます。コラーゲンもリンパ球もタンパク質ですから、低タンパク食では話になりません。

それからもう一つ、あなたは美容院にいかれるでしょうが、そこで、ベルジュバンスのトリートメントをやってもらえるなら、いっそうよく安全圏に逃げこむことができるだろうと思います。これをめぐる理論は、不明の点が多いのですが、『ガンは予防できる』のなかに、私の見方を述べておきました。一言でいえば、ベルジュバンスのトリートメント液には、ガン細胞に自己消化をおこさせるはたらきがある、というのが私の意見です。申すまでもなく、右のようなアドバイスは、私のまわりの乳ガン手術をうけた人たちに広くつたわっております。いまのところ、期待どおりの経過をみることができています。