orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(35)腰がまがらないようにする予防は?

相談者(56歳女性):私の母は、中学まではやせ気味で、腰もくびれていました。70歳ごろから下腹に肉がつき、背骨が出っぱって、とうとうからだが二つにまがってしまいました。母によく似た私も、1~2年前から下腹に肉がつき始めました。母のようにならない方法があったら教えてください。

専門医の診断:ここには二つの症状があります。第一は、下腹に肉がついて太ったことです。これは、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの原因になりやすいので、その点の注意が必要です。このような病気が起きないとしても、20~30歳代の標準体重を保つのが健康的とされています。婦人の標準体重は、身長(センチメートル)から105を引いた数字(キログラム)として良いでしょう。これを10%以上オーバーした人は、食事と運動とで、標準体重に近づける努力が必要です。第二は、背骨の曲がったことです。お母様の場合は、おそらく骨多孔症です。この病気の原因はいろいろですが、老化による場合が多く、これは老人性骨多孔症とよばれます。背中が丸く、腰が曲がり、腰痛や骨折の原因になります。骨の形成にはカルシウムとタンパク質とが関係しますから、食事に注意し、牛乳、チーズ、小魚などを毎日とるように心がけることが必要です。また、正しい姿勢を保つよう、日常の努力も大切です。骨多孔症についての問題は、整形外科でよく研究されていますから、必要に応じてその方の専門医に紹介してもらうことも大切です。

 

三石巌先生のアドバイス:

第25問に、骨の栄養について扱いましたが、ここの診断にもそれが述べられています。卵をはぶいたのはコレステロールの心配からでしょうが、私は卵をおすすめします。卵の業者が自分のからだを実験台にして、一日に10個やっても血中コレステロール値の上昇をみなかった、といっています。卵は、タンパク質として最高のものです。

タンパク質の良質かどうかの基準は、プロテインスコアという数字で表すことができますが、これが100のものは卵しかありません。それがいやなら、配合タンパクということになります。配合タンパクといっても、プロテインスコアはいろいろですから、それを確認してから使うことです。100に近いものから60以下のものまであります。小魚についてですが、これは、日本の近海や河川でとれたものを、私は敬遠します。小魚は、どうしても内臓を食べることになりますが、それが汚染されているからです。そこで、カルシウム源として、牛乳やチーズがクローズアップされると同時に、カルシウム剤が見直されることになってきます。

なお、コーラ類のようなリン酸飲料は、骨のカルシウムを溶かし出しますから、カルシウムの補給に自信のない場合は、やめた方が無事です。それから、背中が曲がらないようにするためには、背中の筋肉を強くすれば良いわけです。これも、第9問に紹介したアイソメトリックスでうまくゆきます。まず、椅子に腰かけます。それから、両手を股の間に入れ、椅子の枠に手をかけます。それから、全力投球で、椅子を上に引っ張るようにします。これを6秒間続けます。それから、数秒やすんで、これを8回ほど繰り返します。翌日はやめて、翌々日に同じことをやります。これで背中の筋肉は強くなり、背骨はぴんとなるはずです。これで目的が達せられないようでしたら、ビタミンのEとCとAとに目をつける必要があります。ビタミンEによって血行を改善することは、骨にも筋肉にも大切なことです。ビタミンCは、骨の重要な材料であるコラーゲンを作るのに不可欠のものです。ここにビタミンAを出したのは、背骨の軟骨、つまり椎間板の弾力を保つための必要からです。腰が曲がる一つの原因として、椎間板が柔らかになっていることをあげることができます。その弾力を維持する物質をコンドロイチン硫酸といいますが、これがまた代謝回転が非常に速く、そに半減期は7~10日しかありません。ビタミンAは、このコンドロイチン硫酸の合成に重要な役割を持っているのです。

ビタミンAの一日必要量は、卵黄にして4個、バターにして6分の1ポンドですから、あなたを含めて、日本人の食生活では不足するのがふつうです。まじめに、腰の曲がることをお考えなら、ビタミンAに手を出すべきです。合成品なら一日2~3万単位は欲しいと思います。

コンドロイチン硫酸は、結合組織に含まれる粘質多糖体の一つです。これが一番多く含まれるのは軟骨ですが、粘膜では特に重要な役割を演じています。