orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(30)全身が痒いのはなぜでしょう

相談者(34歳男性):数年来、体に何もできていないのに全身が痒く、背中と下肢が特にひどいのです。以前は夕食後に限られていましたが、最近は昼間も痒くなります。冬が主です。食物のせいでしょうか。なお、子供の頃はひどい湿疹で悩みました。

 

専門医の診断:全身掻痒症です。糖尿病や痛風などの内科的疾患に伴う場合と、特別な病気と無関係な場合とがありますが、大抵は後者です。そしてこれは、次の四つに分類されます。①本質は湿疹ですが、全身を探してみてようやく発疹が見つかる程度のものです。これには、副腎皮質ホルモンの入った軟膏が効きます。②副交感神経の興奮からくるものです。副交感神経は自律神経の一つで、末梢血管を広げて発汗を引き起こすように働く神経です。これが興奮しすぎると、痒くなります。酒やタケノコで痒くなるのも、運動して汗をかくと痒くなるのも、この仲間です。これには、副交感神経遮断剤や、精神安定剤が効きます。③本質はヒスタミン性の蕁麻疹で、発疹がほとんどありません。これは、食事から起きることもあります。抗ヒスタミン剤が効きます。④ホルモン不足から起きるもので、更年期年齢以降にあらわれます。これには性ホルモンが効きます。四つのうちの①がたぶんあなたに当てはまると思います。一日の仕事が終わってホッとした時、食後に胃腸が活動するときなどには、副交感神経が興奮するものです。これには②も手伝っている感じです。治療には副腎皮質ホルモン入りのスプレーが良いでしょう。

 

三石巌先生のアドバイス21問に、痒み物質キニンを紹介しましたが、かゆみ物質もこれです。だから、キニンを捕まえてその活性を失わせる物質に、私は興味を持ちます。この性質を持つありふれた物質は、アスピリンです。アスピリンを服用しても、それを溶かした水を塗っても痒みの止まる傾向があらわれるのが普通です。副腎皮質ホルモンは、概要なら副作用はないと言われますが、どうもそうではなさそうです。ただそれが、あまりひどくないということです。副腎皮質ホルモンは、皮膚からよく染み込むので、副作用がないといえば、嘘になるでしょう。

キニンはタンパク質の分解物ですから、タンパク分解酵素の細胞内出現を抑え込めば、これができないわけですが、この作用をする第一のものは副腎皮質ホルモン、第二のものはアスピリンです。だから、アスピリンはここで二つの作用をすることになります。根本的な療法を考えるとすれば、高タンパク食と、ビタミンECKとそれからカルシウムをすすめたくなります。高タンパク食は、皮膚の栄養を良くするために、ビタミンEは、細胞内タンパク分解酵素がやたらに出てくるのを防ぐため、ビタミンCは、かゆいかゆいのストレッサーに対抗するために、ビタミンKとカルシウムは、それによって皮膚のアルカリ性を高め、タンパク分解酵素の働きを抑えるためです。湿疹を起こすタンパク分解酵素、すなわちリゾゾーム酵素は、酸性に近いほどよく働くのです。あなたは、食物のせいではないかと疑っています。結局、私がビタミンやミネラルをあげたのは、食物のせいで、それらが不足したため、と考えるからです。湿疹・リゾゾーム・リゾゾーム酵素についての詳しいことは『ビタミンEのすべて』にあります。