orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(38)白目が濁るのはなぜでしょう

相談者①(34歳主婦):娘時代から事務系の仕事をしてきました。13歳ごろから白目が濁り始め、年とともに汚くなってきます。専門医に、皮膚のシミと同じもので、心配することはないと言われますが、鏡を見るのも嫌です。幼児期にトラコーマをやったことはあります。現在、視力は両眼とも1.2です。なんとかなりませんか。

専門医の診断①:瞼裂斑・翼状片の初期、または結膜異常着色などのどれかだと考えられます。瞼裂斑は、瞼裂に相当する球結膜がやや隆起して黄色くなったもので、中年以降に発生します。翼状片は、初期症状として、まず、角膜内縁部に白色の小さな結節ができ、それに接する球結膜が充血気味になりますが、まだ自覚症状はありません。しかし進行すると、視力が低下します。根治のためには手術を要します。この病気は、戸外で働く人に多いと言われますが、原因は不明です。

瞼裂部球結膜異常着色の原因は、光線やゴミなどの長期にわたる刺激だとされていますが、慢性結膜炎をやった目に起こりやすいようです。これは、視力障害を起こさない病気ですので、放って置いて心配はありません。

 

相談者②(40歳男性):7~8年前から目が充血しやすく、治療を受けても治りません。テレビの影響かと思いますが、症状は酒を飲むとひどく、飲まなくても起床時から充血しています。目薬を点滴すると、一時は良くなりますが、咳をしただけでも充血するので困っています。

専門医の診断②:これはおそらく、単純性結膜炎でしょう。特別な病変がないのに、充血しやすく、寒さ・酒・疲労・煙・ゴミなどで、すぐに目が赤くなります。結膜の充血をとる薬はいろいろですが、血管収縮作用の強いものを運用するのは良くありません。薄い硫酸亜鉛水とホウ酸との混合液に、微量のプリピナあるいはナーベルを加えたもの、またはコンドロン点眼薬などが良いでしょう。眼科医と相談のうえ、点眼液を選び、同じものを連用せずに、交互に使用する方が良いと思います。

 

三石巌先生のアドバイス:

ヨーロッパ人は、白目をきれいにするためと言って、鏡の前で目玉をぐるぐる回します。これが、眼球の血行を良くすることに役立つことは、いうまでもありますまい。目に異常があるならば、何よりもまず、眼球の血行を良くしなければならないわけですから、これは賢明な方法と言えるでしょう。第37問に紹介した、私の「目玉の体操」は、これを一歩進めたようなものですから、試みる価値があると思います。

それから、血行改善のためにビタミンEを飲んでみたらどうでしょうか。これだけが目的ならば、ビタミンEは合成でも間に合うでしょう。

①の場合、白目の濁りが、皮膚のシミと同じものだと言われ、光線やゴミなどの長期にわたる刺激からくる瞼裂部球結膜異常着色だとされました。皮膚のシミは、不飽和脂肪酸の過酸化物、つまり過酸化脂質とタンパク質の結合物であり、紫外線が過酸化脂質合成の引き金になることを思うと、ここにもまた、ビタミンEの抗酸化作用を利用してはどうか、という問題の持ち上がる余地があります。

結膜の充血は、ビタミンB2の不足と関係があります。一過性の結膜炎なら、ビタミンB2の注射1本で治るくらいです。卵とか牛乳とか、ビタミンB2を豊富に含む食品をとる一方、これを薬剤の形でとったら良いと思います。

②の場合、酒を飲むと充血する、とあります。これは、顔が赤くなるのと同様、末梢血管の拡張による部分もありますが、アルコールの分解(薬物代謝)のためにビタミンB2が消費され、結膜に影響が表れたことによる部分もあるでしょう。

結局、結膜の改善の為には、ビタミンEとビタミンB2と、それから目玉の体操とを、まず試みたら良いと思います。

なお、専門医の診断の中にある「コンドロン点眼液」とは、第35問に紹介したコンドロイチン硫酸を主成分とするものです。結膜の構成因子の一つであるコンドロイチン硫酸に問題があって、白目の充血をきたしたと見るところから、この点眼薬の勧めとなったのでしょう。それならば、ビタミンB2の他に、ビタミンAをとるのが合理的、と考えるべきだと思います。