orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(26)しもやけに悩む13歳の娘ですが

相談者①(13歳の娘):

小学校五年のころから、冬になるとひどいしもやけにかかります。ビタミン剤をあたえ、医者の薬をのませてもなおらず、勉強中もかゆいとなげきます。からだは健康で、偏食もありません。なにか方法はないものでしょうか。

専門医の診断①:

しもやけは遺伝的傾向が強く、90%に家系的な発生がみられます。しかし一般に、思春期をすぎるとへります。とくに、男子にはその傾向があります。治療には、血管強化剤、ホルモン剤、末梢血管拡張剤なども使われますが、ふつうは、ビタミンEやニコチン酸が使われます。外用薬としては、ビタミンEをふくんだ軟膏や、ヘパリンをふくんだ軟膏があります。

一般に、要望のための薬の量は治療のためのそれの半分ですみますから、冬の初めからこれを予防的に使うことです。女子では、月経異常もしもやけの発生を助長しますから、その方の治療が必要になることもあります。

 

相談者②(40歳女性):

若いときから手足の先が冷えてこまります。冬の朝は手がこごえ、足のほうはもっとひどく、五月ごろまで冷たい感じです。婦人科の診断では、異常なしとのことでした。勤めていますが、夏をのぞく季節は仕事ができないでこまります。

専門医の診断②:

質問の症状は、いわゆる「冷え性」です。この病気は女性に多く、年齢が高くなるにつれて、訴えの頻度や強度は、やや増加する傾向があります。頻発する部位は、足・腰・手の順です。冷え性の発病は、冬を中心とする寒い時期で、肩こり・生理痛・頭痛・腰痛を併発するケースが多いようです。冷え性の病理はまだ解明されていませんが、いろいろなストレスが誘因になるのではないかと考えられています。治療法としては、ビタミンEやニコチン酸がきくという報告があります。ビタミンEは65%の患者に有効、ニコチン酸は70%の患者に有効、というデータもあります。

 

三石巌先生のアドバイス

①②の質問にたいして私が注目する点は、両専門医がそろって、ビタミンEとニコチン酸とをあげているところです。ビタミンEは血液の粘土をさげる物質として、ニコチン酸は末梢血管をひろげる物質として知られているものですから、結局、両者ともが結構改善に役立つことになります。しもやけも冷え性も、局部の血行がわるくなったことからくる症状ですから、これらのビタミンがきく、と考えるのは当然です。ビタミンEの投与によって、50年来のしもやけがなおった女性がいます。私の本心をいえば、しもやけに悩むのはばかげたことです。というのは、ビタミンEでまちがいなくなおるからです。もし、なおらなかったら、量がたりないのですから、なおるまで増量するだけのことです。ビタミンEのとりすぎの害は考えられませんので、安心して挑戦することができます。個人的体験をいえば、私は毎日、超大量の特製品をとって、害どころか、筋力が強くなり、はげに毛がはえ、シミがうすくなりました。

もう一つ、私が注目したことは、年齢の点です。①は思春期、②は更年期にあたります。そして、この二つの重大な転機には、血中のビタミンE濃度が低いという事実があります。そのために、血液の粘度が高まって、とくに抹消の血行がわるくなっているはずなのです。ビタミンEを十分にのんで、血中ビタミンE濃度を正常にもどすことができたら、状態はまったくちがってくるはずです。ビタミンEを最も豊富にふくむ食品が、わたしたちの食習慣に縁のない小麦胚芽であることを思えば、これはかくべつ不足しやすいビタミンだといわなければなりません。①の診断には、しもやけが思春期をすぎると軽くなる傾向のあること、月経異常がしもやけに関係があること、などが記されていますが、どちらもビタミンEに結びつけられます。

くわしいことは、第16問を参考にしてください。これは、②の診断にも関係があります。なお、②の診断では、冷え性と肩こりや頭痛が結びつけられています。頭痛については第12問をみていただきたいのですが、要するに、ビタミンEがかなりの効果をあらわずはず、ということがわかります。

ニコチン酸の有効性を無視することはできません。しかし、これは体内合成ができてるといっても、とかく欠乏しがちですから、ビタミンEに注力を注ぐべきだと思います。