orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(40)下痢のくせは治りませんか

相談者①(22歳女性):下痢が慢性のようになっています。専門医は、腸が少し荒れているだけ、といいます。一年前から、食後に左腹が重苦しく痛むようになりましたが、現在は腹痛が一日中続きます。下痢のない日は、軟便が1~2回あります。刺激物、肉類、洋食などを食べれば、必ず下痢になります。

専門医の診断①:食後に下痢を起こす病気を、「過敏性大腸症」といいます。食物が腸管を通過する速度が大きいだけのことですが、これは神経質な人によく見られます。過敏性の大腸では、吸収のために十分な時間が取れないので、下痢便・軟便になるわけです。この場合、栄養物質の吸収に支障は起きませんから、便通の前後に左下腹部に痛みがあっても、心配は全く要りません。下痢は、胃液の酸度が低い場合にも、よく起きます。この種の下痢は、梅雨期から夏にかけて悪化しますが、酸っぱいもの、塩辛いものを多めに食べると、かなり好転するものです。大腸炎があると、よく左下腹部が痛み、刺激物を食べると悪化します。あなたの場合、軽い慢性大腸炎か、あるいは過敏性大腸症に軽微な大腸炎を合併するものなのか、どちらかだろうと思います。これは、専門医ならば、腹部に触るだけで区別がつきます。日常の注意点は、まず心配しないこと、下痢しやすい物を食べた時には、消化剤と腸の過敏性を抑える薬を飲むこと、足や下腹を冷やさないこと、などです。

 

相談者②(38歳男性):サイダーやコーヒーを一杯でも飲むと、すぐに胃が重くなり、翌朝は下痢になります。特異体質でしょうか。

専門医の診断②:胃液に酸が含まれていないと、腸で腐敗が起きやすく、無酸性の下痢が起きることがあります。しかし、サイダーやコーヒーはアルカリ性でもなく、その一杯で胃酸が中和されるとは考えられません。むしろ、サイダーやコーヒーが神経を刺激して腸の蠕動を促進し、さらに水分の分泌を促進することからくる神経性下痢が、あなたの場合だろうと思います。これは全く心配の要らない下痢です。ニコチンの刺激、試験前の緊張、寒冷刺激などで起こる下痢と同じ性質のものです。下痢を起こさない程度に、サイダーやコーヒーの量を少しずつ増やしてゆくと、以前に下痢を起こした量でも平気になる見込みもあります。消化剤や精神安定剤の使用も考えられますが、特に医療が必要とは思えません。

 

三石巌先生のアドバイス:

消化管の内壁の細胞は、2~3日で更新されます。したがって、タンパク質の補給が不十分だと、大腸壁の機能に響くはずです。それを考えると、先決条件は、高タンパク食を摂ることです。下痢の背景には低タンパク食があるだろう、と私は思っています。一方、消化管の内壁の粘膜には、構成要素としてコンドロイチン硫酸がなければなりません。だから、ビタミンAが不足だと、大腸の機能は低下するはずです。ここにも、ポイントが一つあると思います。

神経性下痢が想定されるとき、ストレスに強くなるために、高タンパク食とビタミンCとが問題になってきます。

結局、どちらの場合にも、高タンパク食、ビタミンA、ビタミンCを、まずは試みたらどうか、と私は考えます。