orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(45)マラソンは老人には危険ですか

相談者(65歳男性):ラソンをやってみたいのですが、心臓発作で倒れた人の話を聞いて戸惑っています。危険でないと言う保証は無いわけですか。老人の場合の事ですが。

専門医の診断:老人は順応力が低下していますから、無理は禁物です。マラソンは、少しずつから始めることです。その日の体調や環境についてのコンディションを考えることも大切です。暑い日には疲れが激しく、熱がこもりがちですから、避けるのが無難です。寒い日には、走った後、脈拍が100ぐらいに下がるまで戸外にいて、体を冷ましてから室内に戻ることです。脈拍は、運動の激しさの物差しになります。脈拍が、180から年齢を引いた数を超えない程度で走っていれば、まず安全です。脈拍を数えるのには、15秒間の拍動数をはかり、それを4倍します。走っている時、息が苦しくなったり、胸が圧迫される感じになったり、焼け付くように暑い感じになったりしたら、すぐに止めることです。そして、医師の診断を受けることです。以上の注意をしたらまず、大丈夫と思います。

 

三石巌先生のアドバイス:

ランニングでは血液量が増えるわけですから、心臓は鍛えられ、循環系は発達するでしょう。事実、ランニングを真面目に毎日のようにやっている人では、心臓の拍出量が増えるために、安静時の脈拍が減ります。普通の人の脈拍は毎分70前後ですが、ランニングを日課にする人では、これが50台です。マラソン選手では40台です。心臓の拍出量、つまり1回に血液を送り出す量が増えるのは、心筋の発達の結果です。この事実は、心筋の発達に有利な物質的条件を整えれば、無理なくマラソンができることを物語っています。そこで、ビタミンEをとることをおすすめします。私個人について言えば、マラソンはしませんが、脈拍はちょうど60です。夏には水泳、冬にはスキーをしますが、それとビタミンEとの関わり合いで、このような数字になったのだと思います。なお、息が苦しくなったり、胸が締め付けられる感じになったりするのは、心臓に過大な負荷がかかった証拠です。ランニングの場合、心臓の主な仕事は、血液による酸素の配給です。だから、血中酸素が無駄なく筋肉の収縮に使われるようにすれば、有利と言うことになります。ビタミンEが欠乏している時、呼吸によって吸収した酸素のじつに43%が、第42問に説明した脂質の酸化に使われると言われます。したがってビタミンEの利用は、激しく酸素を要求するすべてのスポーツにとって、非常に重要な条件になります。ほとんどすべてのスポーツマンがビタミンEを使っていること、そしてまた、ビタミンEの合理的な使い方を心得ている国の選手が好記録を出していることを、お耳に入れておきます。マラソンと言えば、私ども素人にとってはジョギングを意味するでしょう。ジョギングの創始者フィックスは、54歳の若さで亡くなりました。ジョギング姿で路上に倒れていたのです。ジョギングの本まで書いた人ですから、医師と全く無関係だったとは考えられません。結局、心臓に格別な障害がなかったのに、ジョギングのために死んだとしなければなりますまい。第43問に書いたことですが、エネルギーを作るときには活性酸素が発生します。ジョギングのような運動は、大量のエネルギーを要求しますから、活性酸素の量も多いことになります。そうなると、自分の体の作る活性酸素除去酵素SODだけでは間に合わなくなるでしょう。そこで活性酸素は猛威をふるいます。酵素タンパクが酸化変性すれば、その代謝はストップせざるをえません。要するに、何が起こるか分からないのです。心不全がなくても死があり得ます。マラソンをおやりになるなら、医師の診断も必要ですが、活性酸素対策も必要です。フィックス氏も、正真正銘のビタミンEをとっていたら、こんな死に様はしないで済んだはずです。