orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(53)静脈瘤がみにくくて

相談者(33歳女性):出産前に下肢に静脈瘤が現れ、それから8年後の現在も、生理期間中や疲れたときには、それが痛みます。また、大変醜いので、早く治したいと思いますが、どのような注意が必要でしょうか。

専門医の診断:妊娠すると下肢や外陰部の静脈が拡張し、月が経つにつれてそれがだんだんに太く怒張してうねりくねった静脈瘤になることがあります。お産が済めば消失するのが普通ですが、醜い青筋が残って痛むこともあります。原因は妊娠子宮による骨盤内静脈の圧迫なのですが、静脈の弱い人にできるもので、妊娠中毒症とも関係があるといわれます。血圧が低いためのうっ血も考えられます。治療法としては、ビタミンB1にも多少の効果が期待できますが、これで全治は無理です。大きいものは手術で切除することができますが、小さいものまでは取りきれません。むしろ、次のような日常生活の注意が大切です。まず、栄養を良くすることです。それから長時間の起立や重労働を避け、時々休むことです。起立や重労働が必要なときには、患部に軽く包帯を巻く必要があります。靴下どめやゴムで大腿を締め付けてはいけません。臥床時には、足を少し高くしてください。また静脈瘤を傷つけると大出血の恐れがありますから、怪我をしないようにすることです。

三石巌先生のアドバイス:

静脈瘤とは、静脈の血管が、ミミズがのたくるように伸びて長く太くなり、とこどころが瘤のようにふくれたものです。ふくらはぎによく見られるものです。血管が伸びたり膨れたりする原因として、ここでは骨盤内の静脈の圧迫があげられています。こういう事情があれば、下肢の血液がスムーズに心臓に還流することができず、そこに停滞して、静脈を広げることになるわけです。静脈壁が正常な弾力を保持していれば、出産後には、それが元に戻るはずです。静脈壁の重要な材料は、第6問にあげたコラーゲンですから、それを構成するために必要なタンパク質とビタミンCにまず注意したいと思います。一般的に言えば、静脈瘤にはもっと質の悪いものがあります。膝から下の静脈は2本あって、それが膝のあたりで合流して1本になり、大腿部では奥の方を通り、骨盤を通過しています。この2本の静脈のうち、奥にある1本が詰まると、上行する血液はすべて、ふくらはぎの表面に近いところの静脈に殺到しなければならなくなります。すると、そこに静脈瘤ができるのです。このような時、奥の静脈の血栓を溶かすことが必要ですが、そのためにはビタミンEが有効です。これで血液の粘度が下がると、血栓が次第に緩んで、しまいにはそこの血行が回復します。万一、この血栓が上方に移行して、一本化した大腿部の静脈を塞ぐと、下肢の切断が必要になります。あなたの場合、高タンパク食、ビタミンC、ビタミンEを試みることをおすすめします。こうして足の切断を免れた人も、現実にいるのです。セレンも有効です。

 

自然治癒の健康相談(52)喘息は治らないものですか

相談者(70歳主婦):4年前の年末、急に咳が出てたんが絡み、2階に上がったとき、呼吸が困難になりました。背中をさすってもらい、床につきましたが、友人に勧められて、翌日入院しました。副腎皮質ホルモンの注射で、8日目には楽になりました。70日間の入院中に、次第に手足が痩せ、ものにぶつかるとすぐに皮下出血を起こし、赤あざがたえなくなりました。退院後も1~2ヶ月ごとに発作があり、副腎皮質ホルモンの注射を打ってもらいます。医師は、喘息は一生治らないと言いますが。

三石巌先生のアドバイス:ぜん息の大部分は、いわゆる気管支ぜん息です。気管支は末端では直径0.1ミリにも足りない細い管ですが、どこまでも環状の筋肉に取り巻かれています。その筋肉が全面的に収縮すると管が閉じ、肺の中の空気は外に出られなくなります。これが気管支ぜん息です。気管支の筋肉は、プロスタグランディンの仲間のロイコトリエンによって収縮します。喘息はロイコトリエンの仕業です。喘息の発作を抑えるのにはステロイドが定石ですが、このホルモンにはプロスタグランディンの生成をブロックする作用があるためです。

一方、プロスタグランディンE1にはロイコトリエンに拮抗する働きがあります。プロスタグランディンE1はガンマリノレン酸から誘導されます。だから、ガンマリノレン酸を大量に含む月見草油が喘息に良いと言われるのです。牛乳やバターも良いわけです。いずれにしてもフィードバックがうまく行かなければ、自力でなんとかすることはできません。配合タンパク、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、ヨードなどをお勧めします。なお、喘息患者では、首筋、肩甲骨の周り、胸の上部等にひどいこりがあります。そういうところにビタミンEを塗って行うマッサージも有効だと言われます。押してみて、痛いところ、凝ったところを探して、そこにビタミンEを塗り、指に適当な力を入れて大きくさするのです。

その後の経過:

高タンパク食・後ビタミン食を始めてからは、1ヵ月たっても、2ヶ月たっても発作が起きず、起きても目に見えて軽くなりました。そして、半年ほど経ってからは、喘息の気はすっかりなくなった模様です。もっとも2ヶ月前の寒い日に出歩いて風邪をひき、2週間ばかり咳が続きました。でも、これは呼吸困難を伴わないので、喘息ではなかったと思います。

自然治癒の健康相談(51)気管支を丈夫にする薬は

相談者(61歳男性):ここ2~3年、気管支炎に苦しんでいます。医者にかかって、5ヶ月ほど服薬しています。しかし、こんなことをいつまでも繰り返してはやり切れません。何とか、気管支を丈夫にする薬は無いものかと思うのですが。

専門医の診断:医師はこれを、慢性気管支炎と診断するでしょう。ある種のビタミンには、気管支表面の細胞の保護作用があると言われますが、気管支を丈夫にする薬はありません。栄養と休養とを十分に取り、体調を改善することが、間接的に気管支を丈夫にすることになります。一方、気管支に加わる刺激を少なくすることが大切です。それには、清浄な空気に触れるように努め、冷気や乾燥した空気を避け、温度と湿度に注意すること、喫煙をやめることが必要です。痰が気管支に絡むと、息が苦しいだけでなく、気管支や肺の感染の原因になりますので、痰を切る方法を取らなくてはなりません。それには、薬もありますが水をたくさん飲むのも1つの方法です。痰が引っかかった時、胸や背中を軽く叩くのも、案外聞くことがあります。感冒を馬鹿にしないこと、過労を避けることなどが、日常の心得として必要です。

 

三石巌先生のアドバイス:

気管支の壁には絨毛がびっしり並んでいて、有害な物質があると、それを粘液で丸め一斉に上方になびいて、喉に送り付けます。これが「痰」になります。痰が絡まることなく、あっさり喉まで来るようなら、その気管支は正常といえます。このためには、絨毛が正常でなければなりません。正常な絨毛は、十分に長く、粘液をたっぷり分泌するはずです。ところが、ビタミンAが不足すると、絨毛が短くなり、極端な場合には全く消えてしまいます。それを考えると、気管支を丈夫にする栄養物質として、ビタミンAを考えて良いことがわかります。むろんこれは薬とは言えませんが、薬の形で取ることができます。あなたの場合、ビタミンAを、合成なら1日最低3万単位ぐらいとってみたら、と思います。友人の声楽教師にビタミンAをすすめたことがあります。このときの経験によると、1日1万単位では目立った効果がなく、3万単位に増やしたところ、いくら喉を使ってもなんともなくなりました。またA夫人は、一日量を13万単位に増やすまで、調子が良くなりませんでした。いずれも合成品の場合ですが。

第35問に紹介した粘質多糖体コンドロイチン硫酸は、粘膜の機能にも関係しています。それで、ビタミンAが、気管支粘膜の機能を正常に保つ上で役に立ったと考えれば良いのです。ビタミンA欠乏のために、気管支の絨毛が擦り切れ、器官の粘膜が角質化している時、ビタミンAがこれを修復するのには相当な時間がかかります。それを無視して、気管支を丈夫にする薬を求めるのは、本当はおかしいのです。気管支を含めて、呼吸器を丈夫にする方法として、「ノールズの呼吸法」があります。これは、呼吸を完全にするのがポイントです。息を吐いて、吐き尽くしたと思った時点で口をすぼめます。そして、肺の中の空気を最後まで絞り出します。それから、自然に吸気に移れば良いのです。普通の呼吸法では、どうしても肺の中に「残気」が残ります。その古い空気を完全に追い出そうとするのが、ノールズの呼吸法です。ノールズに言わせれば、これだけで慢性気管支炎は治りますが、ビタミンAをこれに加えれば、効果が確実になると考えるべきです。ノールズのふれこみによれば、この呼吸法をやっていると、タバコの本数が自然に減るとのことです。なお、この呼吸法は空気の綺麗なところでやらないと、かえってマイナスになると思います。

自然治癒の健康相談(50)肝硬変は治りませんか

相談者(69歳女性):半年前、貧血がひどくて診察を受けたところ、肝硬変と言われ、入院しました。3ヶ月の入院中、元気は出たけれどひどく痩せました。現在は通院加療中ですが、漢方薬も飲んでいます。腹水があって、時にすごい下痢をします。このままで良いのか、入院すべきか、教えてください。

専門医の診断:肝硬変のほかに、腹水・貧血・ 黄疸があるとなると、肝臓がん、あるいは他の臓器のがんの転移などが考えられます。さっそく再入院して、検査と治療とを受けることをお勧めします。肝硬変そのものは難病とは言え、絶望する必要のないものです。食欲に応じて良質たんぱくを食べてください。下痢が続くと栄養が取れず、貧血が悪化しますから、血管からの栄養輸液をしなければなりません。腹膜炎や腸炎など合併症の有無の検査も必要です。

三石巌先生のアドバイス:

肝臓の組織の半交代期は早い部分では10日、遅い部分でも140日というスピードです。成人の場合、肝臓が組織の更新のために必要とするタンパク質の量は23グラムと言われるのも、半交代期が短く、しかも臓器が大きいためにほかなりません。あなたの長年の食習慣に、低タンパク食によって肝臓を窮地に陥れる傾向はなかったでしょうか。また、肝臓はそれが担当する代謝のために、各種のビタミン類、特にビタミンB2を大量に要求します。あなたの食習慣に、低ビタミンB2食によって肝臓を窮地に陥れる傾向はなかったでしょうか。正直なところ、私は、その2つの点に問題があったに違いないと思っています。

手遅れかもしれませんが、何を差し置いても、高タンパク食とビタミンB2を取り入れることが先決条件でしょう。早くこれに気づけば、肝硬変との縁はなかったはずです。重症肝硬変で入院した場合、アミノ酸ビタミンB2との点滴を受けるのが普通です。貧血が低タンパク食の表れである事は、第11問に書いておきました。下痢も、低タンパク食から来ることがあります。入院して検査や治療を受けることが、この場合には必要ですが、さいわい退院できたら、第21問に紹介した光線治療も試みるべきでしょう。そして、横になっている時間をなるべく長く取ることが必要です。すべての病気に対して、それを自然治癒に導く働きが体に備わっていますが、その仕事を受け持つのは血液です。したがって、血液量が重要な意味を持ってきます。横になっていると、内臓の血液量は3倍以上に増えるのです。そして、それが「絶対安静」の医学的意義なのです。

病院で出される肝臓食は、低脂肪食になっています。脂肪の消化吸収には胆汁がなくてはなりませんが、これを作るために肝臓が働かなければならない、と言う関係があるから低脂肪食が指示されるのです。脂肪は脂肪酸の化合物ですが、人体にとってぜひとも必要な脂肪酸として、ガンマリノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸と3つの不可欠脂肪酸があります。これらは「プロスタグランディン」(『成人病は予防できる』74ページ以下参照)という局所ホルモンの合成に欠かせない材料です。プロスタグランディンは40種も知られていますが、これらが3つの系統に分かれているために、不可欠脂肪酸も3つということになります。人間の体は、すべての細胞での微調整を必要とします。それがうまくゆかないと、健康レベルの維持に支障が起きます。そして、その微調整を受け持つのが多くのプロスタグランディンなのです。万一、脂肪を完全にシャットアウトしたら、不可欠脂肪酸のストックは底をつくことでしょう。これでは体調の崩れは避けられません。その意味で牛乳・卵・下級魚などをメニューに加える必要があると思います。不可欠脂肪酸については、第10問に書いておきました。よく知られたリノール酸は、ガンマリノレン酸とアラキドン酸の材料として位置づけられることになりました。

 

自然治癒の健康相談(49)ページェット病でしょうか

相談者(72歳女性):50歳の時、腸閉塞の手術をしたのち、便秘、肩こり、不眠に悩まされました。針・ 灸 ・漢方薬を2年以上続けたところ、68歳からは、舌や陰部や目の縁のただれと口内炎が起き、それが1ヵ月に1回ほどひどくなります。その都度医師にかかりますが、相変わらず再発します。ページェット病かと思い、風邪をこじらせた時、T病院へ行きましたところ、肝硬変だからすぐに入院するようにと言われました。

三石巌先生のアドバイス:

症状はページェット病と重なるようですが、顕微鏡下にページェット細胞が見つかるかどうかが、診断の決め手になります。いずれにしても、根底には栄養障害がある、と私は考えます。したがって、肝硬変が現れて当然だとも言えるのです。この病気から離脱するためには、栄養の広範な補給がなければなりません。具体的に言えば、高タンパク食、高ビタミン食が必要です。ビタミンは、A、B、C、Eをたっぷりとって下さい。患部にビタミンE(小麦胚芽油)を塗るのもよいでしょう。

その後の経過:

高タンパク食、後ビタミン食を始めてから、症状が改善されました。3ヶ月後に不幸続きで疲れた時、口内炎が起きましたが、2~3日で治り、陰部のただれについても同様でした。体重は、47キロが50キロになりました。その後、過労のため下痢などを起こし、入院騒ぎも起こしましたが、ビタミンEを塗るようになってから、ただれは起きません。現在、あれから1年2ヶ月が経ちますが、肝硬変は全治と言われます。血圧は150-78です。医師の薬はいっさい用いておりません。

自然治癒の健康相談(45)マラソンは老人には危険ですか

相談者(65歳男性):ラソンをやってみたいのですが、心臓発作で倒れた人の話を聞いて戸惑っています。危険でないと言う保証は無いわけですか。老人の場合の事ですが。

専門医の診断:老人は順応力が低下していますから、無理は禁物です。マラソンは、少しずつから始めることです。その日の体調や環境についてのコンディションを考えることも大切です。暑い日には疲れが激しく、熱がこもりがちですから、避けるのが無難です。寒い日には、走った後、脈拍が100ぐらいに下がるまで戸外にいて、体を冷ましてから室内に戻ることです。脈拍は、運動の激しさの物差しになります。脈拍が、180から年齢を引いた数を超えない程度で走っていれば、まず安全です。脈拍を数えるのには、15秒間の拍動数をはかり、それを4倍します。走っている時、息が苦しくなったり、胸が圧迫される感じになったり、焼け付くように暑い感じになったりしたら、すぐに止めることです。そして、医師の診断を受けることです。以上の注意をしたらまず、大丈夫と思います。

 

三石巌先生のアドバイス:

ランニングでは血液量が増えるわけですから、心臓は鍛えられ、循環系は発達するでしょう。事実、ランニングを真面目に毎日のようにやっている人では、心臓の拍出量が増えるために、安静時の脈拍が減ります。普通の人の脈拍は毎分70前後ですが、ランニングを日課にする人では、これが50台です。マラソン選手では40台です。心臓の拍出量、つまり1回に血液を送り出す量が増えるのは、心筋の発達の結果です。この事実は、心筋の発達に有利な物質的条件を整えれば、無理なくマラソンができることを物語っています。そこで、ビタミンEをとることをおすすめします。私個人について言えば、マラソンはしませんが、脈拍はちょうど60です。夏には水泳、冬にはスキーをしますが、それとビタミンEとの関わり合いで、このような数字になったのだと思います。なお、息が苦しくなったり、胸が締め付けられる感じになったりするのは、心臓に過大な負荷がかかった証拠です。ランニングの場合、心臓の主な仕事は、血液による酸素の配給です。だから、血中酸素が無駄なく筋肉の収縮に使われるようにすれば、有利と言うことになります。ビタミンEが欠乏している時、呼吸によって吸収した酸素のじつに43%が、第42問に説明した脂質の酸化に使われると言われます。したがってビタミンEの利用は、激しく酸素を要求するすべてのスポーツにとって、非常に重要な条件になります。ほとんどすべてのスポーツマンがビタミンEを使っていること、そしてまた、ビタミンEの合理的な使い方を心得ている国の選手が好記録を出していることを、お耳に入れておきます。マラソンと言えば、私ども素人にとってはジョギングを意味するでしょう。ジョギングの創始者フィックスは、54歳の若さで亡くなりました。ジョギング姿で路上に倒れていたのです。ジョギングの本まで書いた人ですから、医師と全く無関係だったとは考えられません。結局、心臓に格別な障害がなかったのに、ジョギングのために死んだとしなければなりますまい。第43問に書いたことですが、エネルギーを作るときには活性酸素が発生します。ジョギングのような運動は、大量のエネルギーを要求しますから、活性酸素の量も多いことになります。そうなると、自分の体の作る活性酸素除去酵素SODだけでは間に合わなくなるでしょう。そこで活性酸素は猛威をふるいます。酵素タンパクが酸化変性すれば、その代謝はストップせざるをえません。要するに、何が起こるか分からないのです。心不全がなくても死があり得ます。マラソンをおやりになるなら、医師の診断も必要ですが、活性酸素対策も必要です。フィックス氏も、正真正銘のビタミンEをとっていたら、こんな死に様はしないで済んだはずです。

自然治癒の健康相談(48)扁桃炎を繰り返しますが

相談者(5歳女児):一年前に扁桃炎を起こして以来、毎月1~2回は発熱します。現在のところ、発熱があるだけで、咳も鼻づまりもありません。扁桃炎がどの程度まで進行した時、摘出するのでしょうか。摘出の影響はどんなものでしょうか。

専門医の診断:大抵の人は、長い人生の中で、1度や2度は扁桃炎の経験を持つものです。でも、お子さんのように、1ヵ月に1度も2度も起こすと言うのは、あまり多すぎます。原因を取り除く意味で、手術を考えるべきでしょう。もともと、扁桃の機能は、学齢期までは、食物や空気に混じって体内に紛れ込む細菌やウィルスなどに対する抗体を作ることにあるのですから、むやみにこれを摘出するわけにはゆきません。しかし、扁桃炎が繰り返されると、急性のものが慢性になります。すると、せっかくの扁桃の機能が失われるばかりでなく、これが細菌の毒素の巣になって、かえって扁桃が病気の原因になる恐れが出てきます。それが飛び火して、腎臓や心臓病を起こす場合があります。専門医の診断を受け、扁桃の腫れ具合や色の様子、さらに血液検査の結果を見て、慢性化の傾向があれば手術を要します。

三石巌先生のアドバイス:

扁桃炎にかかったときの一般的注意としては、食塩の制限を直ちに実行することです。それを怠ると、急性腎炎が始まる公算が大きくなります。万一、急性腎炎が始まったら、食塩を制限した高タンパク食をとり、絶対安静を守らないと、慢性腎炎に移行する恐れがあるので、油断はできません。扁桃炎は感染症ですから、これにたびたびかかると言うのは、細菌に弱いからだと言うことになります。お子さんの場合、タンパク質のとり方が少ないのではないでしょうか。また、ビタミンCも少ないのではないでしょうか。

細菌に対する人体の抵抗は、白血球により、また抗体によります。第17問にあるように、好中球と呼ばれる白血球の貪食能は、ビタミンCの濃度に左右されます。そしてまた、白血球も抗体も、物質としてはタンパク質です。タンパク質やビタミンCの不足が、細菌に弱い体を作るわけが、お分かりでしょう。扁桃炎が起きて発熱すれば、それは強烈なストレッサーになります。それがまた、タンパク質とビタミンCとの浪費をもたらして、いっそう感染に対して弱いからだをつくることになります。

まず、高タンパク食とビタミンCを、と私は考えます。第47問に書いたように、お子さんの場合、タンパク質の必要量は、体重一キログラムに対して1.5グラムとされています。計算をしてみて、低タンパク食とわかったら、高タンパク食の計画を立ててください。あなたのお子さんの場合、消炎酵素剤(→第44問)を試してみたいような気もします。これを、口に含んでみたらどうでしょうか。