orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(51)気管支を丈夫にする薬は

相談者(61歳男性):ここ2~3年、気管支炎に苦しんでいます。医者にかかって、5ヶ月ほど服薬しています。しかし、こんなことをいつまでも繰り返してはやり切れません。何とか、気管支を丈夫にする薬は無いものかと思うのですが。

専門医の診断:医師はこれを、慢性気管支炎と診断するでしょう。ある種のビタミンには、気管支表面の細胞の保護作用があると言われますが、気管支を丈夫にする薬はありません。栄養と休養とを十分に取り、体調を改善することが、間接的に気管支を丈夫にすることになります。一方、気管支に加わる刺激を少なくすることが大切です。それには、清浄な空気に触れるように努め、冷気や乾燥した空気を避け、温度と湿度に注意すること、喫煙をやめることが必要です。痰が気管支に絡むと、息が苦しいだけでなく、気管支や肺の感染の原因になりますので、痰を切る方法を取らなくてはなりません。それには、薬もありますが水をたくさん飲むのも1つの方法です。痰が引っかかった時、胸や背中を軽く叩くのも、案外聞くことがあります。感冒を馬鹿にしないこと、過労を避けることなどが、日常の心得として必要です。

 

三石巌先生のアドバイス:

気管支の壁には絨毛がびっしり並んでいて、有害な物質があると、それを粘液で丸め一斉に上方になびいて、喉に送り付けます。これが「痰」になります。痰が絡まることなく、あっさり喉まで来るようなら、その気管支は正常といえます。このためには、絨毛が正常でなければなりません。正常な絨毛は、十分に長く、粘液をたっぷり分泌するはずです。ところが、ビタミンAが不足すると、絨毛が短くなり、極端な場合には全く消えてしまいます。それを考えると、気管支を丈夫にする栄養物質として、ビタミンAを考えて良いことがわかります。むろんこれは薬とは言えませんが、薬の形で取ることができます。あなたの場合、ビタミンAを、合成なら1日最低3万単位ぐらいとってみたら、と思います。友人の声楽教師にビタミンAをすすめたことがあります。このときの経験によると、1日1万単位では目立った効果がなく、3万単位に増やしたところ、いくら喉を使ってもなんともなくなりました。またA夫人は、一日量を13万単位に増やすまで、調子が良くなりませんでした。いずれも合成品の場合ですが。

第35問に紹介した粘質多糖体コンドロイチン硫酸は、粘膜の機能にも関係しています。それで、ビタミンAが、気管支粘膜の機能を正常に保つ上で役に立ったと考えれば良いのです。ビタミンA欠乏のために、気管支の絨毛が擦り切れ、器官の粘膜が角質化している時、ビタミンAがこれを修復するのには相当な時間がかかります。それを無視して、気管支を丈夫にする薬を求めるのは、本当はおかしいのです。気管支を含めて、呼吸器を丈夫にする方法として、「ノールズの呼吸法」があります。これは、呼吸を完全にするのがポイントです。息を吐いて、吐き尽くしたと思った時点で口をすぼめます。そして、肺の中の空気を最後まで絞り出します。それから、自然に吸気に移れば良いのです。普通の呼吸法では、どうしても肺の中に「残気」が残ります。その古い空気を完全に追い出そうとするのが、ノールズの呼吸法です。ノールズに言わせれば、これだけで慢性気管支炎は治りますが、ビタミンAをこれに加えれば、効果が確実になると考えるべきです。ノールズのふれこみによれば、この呼吸法をやっていると、タバコの本数が自然に減るとのことです。なお、この呼吸法は空気の綺麗なところでやらないと、かえってマイナスになると思います。