orthomolecular’s blog

分子栄養学の勉強メモ

自然治癒の健康相談(15)赤ちゃんがほしいのに妊娠しません

相談者(27歳の主婦):月経が年に1〜2回しかなく、結婚三年目ですが妊娠しません。通院して一年、クロミット、セキソビットとHCG注射を併用していますが、ききめがありません。こんどは、五つ子で有名なHMGを使うといわれ、不安なのですが。

専門医の診断:生理も排卵もなしで、妊娠は不可能です。そこで、人工的に排卵をうながす方法が必要になります。排卵誘発剤として、あなたの書いた薬が多くの人に福音をあたえたのは事実ですが、全ての人に有効とはいえません。クロミット、セキソビット、HCGなどは、いずれも最高70%の排卵成功率をあげていますが、排卵があれば必ず妊娠というわけにもゆきません。排卵に成功した人の半数が妊娠すれば満足、とするのが常識です。HMGとなると、重症型無月経の人でも排卵が期待できますが、刺激が強いために、卵巣が大きくなった李、一度に数個の排卵があったり、問題をもっています。これは、やたらにおきる現象ではありませんが、多胎妊娠の可能性は否定できません。卵巣が大きくなったら、投与を中止する必要が出てきます。排卵誘発剤が胎児に悪影響を及ぼすことはありませんが、多胎妊娠の場合には、どうしても低体重になるので、養育に苦労することになります。医師は、過排卵がおきないようにHMGの使用量をおさえる努力をしているのですから、その背景を納得したうえで、治療をうけてください。

 

三石巌先生のアドバイス

赤ちゃんがほしい人が、八方手をつくすのは当然です。排卵誘発剤の使用も、もっともだと思います。ただここに、私の経験がいくつかありますので、参考のために、その一つを紹介しておきます。その主人は43歳、奥さんは42歳という年で、子どもがありませんでした。結婚後すでに九年もたっていたのですから、本人たちも周囲のものも、あきらめかけていました。

私は、ビタミンEの50国際単位のカプセルを一日10個やってはどうか、とアドバイスしました。むろん、これをご両人にすすめたわけです。一日500国際単位ですから、ちょっと費用がかかります。しかし、お子さんがほしい場合、たいていの人は、いくらお金がかかってもかまわないというものです。これを半年つづけて、めでたく妊娠に成功しました。このようにうまくいったケースは、ほかにもたくさんあります。排卵誘発剤のせわにならずに子宝にめぐまれる方法がある、ということです。むろん、ビタミンEで百発百中などということはないでしょう。それにしても、赤ちゃんのほしい人が最初に手をだすべきものは、排卵誘発剤ではなく、ビタミンEだと私は思っています。このようなことがあるからといって、ビタミンEを、妊娠のための薬だと考えてはまちがいです。日常の食習慣のなかでビタミンEが欠乏していたからこそ、不妊の状態があった、と考えるべきです。だから、原因は栄養不良という見方になります。しかし、ビタミンEを豊富にふくむ食品というのが、小麦や米の胚芽であったりピーナッツであったりでは、知らないまに欠乏におちいったとしても、ふしぎはないでしょう。魚油のように、ビタミンEを食う食品もあるのですから、油断はできません。

ビタミンEは、性ホルモンの分泌を正常化します。性ホルモンは、副腎皮質・精巣・卵巣で作られますが、そのもとじめは脳下垂体前葉にあります。ここから、性腺刺激ホルモンも、副腎皮質刺激ホルモンも分泌されるのです。ビタミンEは、たぶん、脳下垂体でも、副腎皮質でも、精巣でも、卵巣でも、重要な役割をもっているのでしょう。

不妊の克服のためには、男性の協力が必要です。ビタミンEが欠乏すると、精巣も卵巣も萎縮し、ひどいときには変性することが知られています。ビタミンEを毎日450国際単位を投与したところ、四ヶ月後から精子の数がふえはじめ、10ヶ月後には最初の10倍になったという話があります。ただ、無精子症の人には、さすがのビタミンEも効果をあげられません。もっとも、流行性耳下腺炎、つまりおたふくかぜにやられて、精巣萎縮をおこしたケースなら、ビタミンEは効果をあげます。不妊の原因の30〜50%は男性にあるといわれるのですから、問題の責任を奥さんになすりつけるのは、無知というものです。不妊のなかには、女性の側に、精子にたいする免疫ができている場合のあることが最近発見されました。これを免がれるためには、妊娠可能でない期間もコンドーム使用が考えられます。